2007年6月17日日曜日
「夜のピクニック」鑑賞。
長澤雅彦監督
2006年日本映画
一言でいうとドラマが弱すぎる。
つまらなかった。
高校の行事である24時間80キロ歩行というなんとも過酷なイベントを舞台に展開する高校生の青春ドラマらしいのだが。。
主演の多部未華子と石田卓也の素朴で自然体な演技とまっすぐな視線はいい。
が、冒頭ですぐ明らかになるこの2人の背景にあるドラマがイマイチ弱い。この弱さが決定打となりラストまで物語はどうしても盛り上がらないのだが、無理にそれを盛り上げるためにやたらと多くの友人達が登場する。こうして登場人物が増えれば増えるほど物語はどんどん薄さをましていく。個人的に加藤ローサとその弟の役はいらんと思う。
テンポも非常に悪い。特に60キロ歩行を終えて残り20キロの自由走に入ってからはとにかくダルい。思っていた程大したドラマも展開しない。っていうか20キロ走で「20キロも大変だな!こっから熱く盛り上がるのかな?」と思いきや、最初は走っていた主人公達があっけなくあきらめモードで歩きだすのを観て「おめーら、甘くない?」と萎えてしまった。
80キロ歩行という過酷そうな行事を題材としながらも、登場する高校生の頭の中は結局「片思い」だの「告白」だのといった恋愛ごっこにしか関心がなくそこには「友情」、「情熱」、「自分との勝負」といった言葉は見当たらない。実際に80キロ歩行なんてやったら死ぬほど辛いと思うがそういった辛ささえ画面から伝わってこない。つまり真剣にやってるようでやってないんだな。
題材がいいだけにもっと面白くなったんじゃないかと思うと残念だ。原作があるから仕方ないのかもしれんが。
主人公二人は最終的には当初の「目的」を達成するわけだが、ダラダラ歩いてようやくみんなで仲良く笑顔でゴール、その末に彼らは一体なにをつかんだのか??こんなもんが「青春」でいいのか?
唯一褒めたいのはロックンローラーな高校生を演じた柄本佑だ。
彼は持っている力全て使って体当たりで演じていたと思う。作品中明らかに浮いていたが、80キロ歩行なんだからみんなあれくらいの勢いでやって欲しかった。
まあこういう感想を持つのは私の高校時代が男子校で、日曜以外は毎日体育会の部活でそれなりに熱かったからなんだと思う。
でも「青春」ってこんなもんじゃないだろ??そういう苛立ちのみが残る作品だった。
(生涯583本目の作品)
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