2007年10月11日木曜日

2003.10.11


4年前の出来事を書く。

2003年10月11日は土曜日だった。
当時茨城に住んでいたオレは午後からライダースの革ジャンを着て特急電車にのって東京へ向かった。
東京に着くと今度は京葉線に乗って千葉へ。目的地は海浜幕張駅であり、そこであるロックバンドの解散ライブが行われるのであった。

海浜幕張駅で降りて駅で友人を待った。駅の改札は黒いTシャツや革ジャンを着た人達が次から次へと降りてくる。友人が大幅に遅刻して到着。二人で幕張メッセ国際展示場へ向かう。すでに会場からかなりの距離の場所に長蛇の列。なにしろこの日3万7000人の観客がメッセに集まっているのだから無理もない。ディズニーランドのアトラクションのようにダラダラと歩いてようやく会場内へ。
これから始まるすさまじいライブに上着やカバンなどの荷物が邪魔なのは分かりきっておりロッカーを探すが当然のごとく全て使用済みであった。ロッカーの周りは入らない人が放置した荷物の山で溢れており、それだけでもかなり異様な光景なのだがこの際仕方なく自分もライダースを脱ぎ捨てロッカーの上に放置した。
友人とライブ会場へ。40000人近い観客がオールスタンディングでブロック分けされているその光景は圧巻であり観客の期待と興奮ですでにフロアはただならぬ熱気が充満していた。我々はB1ブロックへ入場可能であったがどこがB1なのかも分からないままとりあえずBと書かれたブロックの人ごみの中へ入り込んだ。そのまま開演を待つも周りは人、人、人ですし詰め状態でありステージは全く見えない。開演待ちのBGMはローリング・ストーンズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどいわゆるロックンロールの大御所的なバンドの曲がかかっていた。そして曲がドアーズの「ジ・エンド」になってしばらくしたそのとき客電が静かに消えたのだった。登場SEである「ゴッドファーザー愛のテーマ」が会場に響き渡るとともにフロアは激しい叫び声やらわめきやら怒声やらで包まれた。もちろんステージは微塵も見えない。しかしステージ両サイドに設置された巨大スクリーンにはバンドのメンバーがいつものようにいたってクールに登場する姿がはっきりと映っていた。

1曲目はわりとゆっくり目な曲であり観客もみな歌詞のとおり「ブラブラと」体を揺らしていたが2曲目からはこれでもかというほどにアップテンポなキラーチューンの連続であった。すでに2曲目でブロック内はモッシュの嵐となり友人とは瞬時にはぐれてしまった。その後オレは踊り狂いながらも、すさまじい熱気と人ごみの中をできうる限りブロックの前へ前へと力づくで移動をした。あまりの熱気と激しさで途中具合の悪くなった女子がネズミが逃げるかのごとく人ごみの中を逆流してブロック後方へ逃げていく様が印象的であった。そして8曲目の途中でこちらを向くセキュリティスタッフの顔が見えたときにオレはなんとか自力でこのブロックの最前まで来たことが分かった。はるか前方のステージ上には1ミリほどのベーシストの姿がかろうじて観え「こんなに遠いのかよ!!」とその会場のデカさに衝撃を受けたのをいまでも覚えている。それでも悔いのないようオレは残された時間をひたすら踊りまくった。

中盤では感傷的なムードになる切ない曲が続く場面もあった。
2回目のアンコールでやった正真正銘ラストの曲のタイトルは「世界の終わり」であまりにできすぎていた。
その曲の途中でギターの弦が切れた。
演奏が終わるとこれまでのライブでもステージ上ではめったにしゃべらなかったギタリストが最期の最期で「ありがとう」となんともいえない笑顔で37000人の客に礼を述べた。
「これが最期なんだ」と思わせるセンチメンタルな場面はたしかにあった。

しかし2回のアンコールを入れて全24曲が終わったときにオレはあまり悲しくはなかった。むしろカッコよいまま全力疾走で最期を飾ったこのバンドを益々誇りに思ったのだった。
ロッカー前で放置しっぱなしの荷物を取ってはぐれた友人と待ち合わせした。着ていたTシャツは汗でビショ濡れで仕方なくグッズ売り場で解散Tシャツを買ってその場で着替えざるをえなかった。
終わってから判ったがオレたちがいたのはB1ではなくB2ブロックだった。もうすこし前で観ることができたのだがあれだけ全力で最期まで楽しく踊ったので全く悔いはなかった。

京葉線に乗って帰った。
「楽しかったな。」
お互いそう感じていた。
五反田でとんこつラーメンを食べてから友人と別れて東京の実家に泊まった。
次の日になってもやはり悲しくはなかった。

ミッシェル・ガン・エレファント。
最近思うのだが、4年前に解散してもいつもオレの心の支えになっていることには変わりないのだ。
なのでいまでも解散をあまり悲しいとは思わない。
完全燃焼で消えていった彼らは誰がなんといおうともオレにとって永遠のロックンロールヒーローなのである。

以上。

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