2006年アメリカ映画
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督
夜中の0時から部屋で観た。あっという間にラストとなった。
期待通りの作品。「面白い」とかそういう感想ではなく力作であり間違いなくこれまでになかった映画だ。
この映画の主役はイニャリトゥ監督自身であることは間違いない。
モロッコ、メキシコ、日本、を舞台に1つの猟銃をきっかけに国籍の違う人間達が微妙に連鎖して事件にまきこまれていく。
別々の人生を送っていた人間が微妙にリンクしていく様はイニャリトゥ監督のこれまでどおりの手法であるがもはやそのテクニックは他の映画でも多く使われておりさほど重要とはいえない。
むしろその事件の中でそれぞれの登場人物達がもがき苦しみ生きたいと泣き叫ぶ様が圧倒的に熱い生命力を感じさせて感動的なのだ。
「お互いを理解できない」という苦しみが「暴力」につながっていく。この2つはこの作品で頻繁に登場する。その一方で時に「理解」しあい「愛」を確かめ合う場面もある。他人と理解しあうことが少なく争いが絶えない世界の中で、時に理解しあい愛を手に入れた瞬間はとても感動的である。
そういった苦しみと喜びが現代の世界には溢れているんだというなんとも大規模かつ普遍的な物語を多少強引にせよここまでリアルな作品として作り上げたことは賞賛に値する。だって現代の日本とモロッコを同時にここまでリアルに描く作品なんていままであったか?
今作は「アモーレスペロス」「21g」と毎回重厚な作品を生み出してきたイニャリトゥ監督の集大成的作品といえる。神の視点で世界中の愛と暴力を描いてしまったわけで、これを作ってしまったら今後一体なにを撮るのか不安になりさえした。
以上。
(生涯604本目の作品)
0 件のコメント:
コメントを投稿