2008年2月9日土曜日

つじあやの LIVE at 九段会館


楽しみにしていたつじあやののライブ。
生涯忘れえぬライブとなった。
凛としたたたずまいで、そこはかとなく芯の強さをかもし出している京都出身京都育ちの彼女が、今日のライブの最後の曲でなんと感極まって泣き出し、ほとんど歌うことができなかったのだ。
その様子は、逆にどんな歌声よりも雄弁に今日のライブのクライマックスを物語っており、とてつもなく感動的だった。

今日のライブについて書く前に、まず彼女の新作である「Sweet Sweet Happy Birthday」について書かなくてはなるまい。昨年12月にリリースされたこの作品は、彼女が30歳の誕生日を迎えるにあたってもう一度自分自身と向き合い、そして自分自身とこれまでの人生を全肯定して、周囲の人々からの支えや愛に感謝するとともに、新たな一歩を踏み出そうという作品である。(余談であるがこれは偶然にもバンプの新作のコンセプトとどことなく共通している。)これまではなじみやすい言葉でラブソングを美しくやさしい歌声で歌ってきた彼女にとって、このアルバムは極めてパーソナルな色合いが深く、これまで以上に自分自身をさらけ出した作品といえる。それを顕著に表しているのはCDジャケットの彼女の顔写真である。一見いつものメガネをかけた顔だが、カバーをはずすとそこにはメガネをはずした素顔のつじあやのが写っているのである。

そしてつじあやのの誕生日である1月6日から約1ヶ月後に行われた今日のライブは、正にその「Sweet Sweet Happy Birthday」の内容をダイレクトに伝える内容であった。
ステージの壁には大きな赤いリボンが結ばれており彼女の誕生日を祝福していた。
まずはバンドのメンバーのみが登場。ピアノが「Happy Birthday To You」のメロディを奏でた後につじあやのが登場。濃いパープルのワンピースで今日の誕生日を着飾っていた。新作の1曲目である「マーメイド」でスタート。あのやさしくて美しい歌声にうっとりしてしまう。序盤はかなり緊張していた様子であったが、歌声はしっかりとしていてライブが進むにつれて力強さを増していった。新作からのナンバーを中心にライブは進んだ。「Fly High」「雨上がりの私」「揺れる夜、愛に抱かれて」が特によかった。やはりCDもいいけど、ライブの彼女の生の歌声はホントに良い。途中で「君にありがとう」「ありきたりなロマンス」そして定番である「風になる」といった過去の作品を挟んであっという間に終盤へ。「30歳の誕生日を迎えて自分自身によくやったなといいたい」というMCの後に披露されたのは新作のラストナンバー「心に花を咲かせましょう」。心地よいスカのリズムに、自分を愛そうという趣旨の歌詞がこれまた心地よい。こうしてライブは本編ラストの「Sweet Happy Birthday」へ。30歳の誕生日を迎えて、自分自身と向き合い、そしてこれまで支えてくれた周囲の人々へ感謝するという、いつになくパーソナルでエモーショナルな今日のライブをやって、やはりあやの氏自身色々と思うことが多かったのであろう。この曲の前のMCですでにこみ上げてくるものを抑えきれなくなり、涙をぬぐっていた。
涙声のままなんとかMCを終えて「Sweet Happy Birthday」を始めるも1番の途中から所々歌えなくなり、2番からは全く歌えない状態に。その姿を応援するかのように客席からは暖かい手拍子が沸き起こった。それでも彼女は感動のあまりつっぷしたまま全く歌えない。演奏と手拍子だけが淡々と進みステージにはうつむいたままウクレレを奏でる彼女の姿が。普段強そうな印象の人ほど、泣いている姿には深く感動するもので、この様子に私自身目頭が熱くなってしまった。こうして感動的なハプニングで本編ラストは終了。
アンコールはまずはバンドとももに「丘をこえて」のカバーを披露し、そのあとはつじあやのだけになってウクレレの弾き語りで「愛を知りたくて」、そして2月20日にリリースされるビートクルセイダーズとのコラボシングル「ありえないくらい奇跡」(ビークルとのコラボ自体が「ありえない」のだが・・)を披露。そしてラストは新作の中でも個人的にお気に入りだった「真夜中の散歩道」でしっとりと終了。

感動の涙で歌えなかった「Sweet Happy Birthday」以外は歌声は安定していて力強くとてもよかった。
あと今日のMCで印象的だったのは「最近『恋』と『愛』の違いがようやくわかった気がする。『恋』は人生を送る上での適度に必要なスパイスで『愛』は人生そのもの。」というものであった。「スパイス」といいつつも、それでもまた恋に落ちてしまうという事も言っていたので、多分いま彼女は恋してるんだろうと思った。どうでもいいか、いやよくないな。

というわけで新作「Sweet Sweet Happy Birthday」をダイレクトに表現したつじあやのの記念すべき誕生日ライブであった。
結局、「これまで色々あったけど、現在の自分を全部認めて、これまで支えてくださった周りの方々へ感謝!」という内容が、オレ自身の最近の心情、状況ととてつもなく一致したためにエラく共感できる内容だったわけなんだよ。
つじあやのの誕生日なんだけど、なんかオレ自身を祝っているかのような感じにも思えて感動してしまった。

長々と書いたが、今日みたいに自分自身の人生と深くリンクしたライブは特別なものである。
以上ステキすぎる夜であった。

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