昨晩なかなか眠れないので、本でも読もうと思い、
1年以上前に購入しておきながらまだ最後まで読んでなかった「食卓の情景」を読んだ。
実に良いです、この本。
池波正太郎の日々の食生活について日記風に書かれている本だ。
時期的にはおそらく1972年頃だと思う。
1923年生まれなので49歳くらいか。
しかし良く食べること。
作家活動も忙しい時期であり、仕事は夜更けから深夜にかけてやるというスタイルだ。
なので1日に朝食、昼食、夕食、夜食と4回は食べている。
夜食はチャーシューメンがやたら多い。
酒もけっこう呑んでる。
特筆すべきは夕食で登場する沢山の料理の数々。
老舗の料亭の野菜を使った繊細な和食メニューから、昔ながらの洋食屋、または当時では新しいフランス料理屋の肉料理などなど、読んでいるだけで美味しさが伝わってくる。
値段は書いてないけど、これだけ豪華なものばっか食べてれば相当な額だと思う。
読んでいる限りではやはり料亭での和食が一番多いように感じる。
現代の日本でいわゆる「和食」って恐らくそんなに食べる機会は多くないと思う。
洋食や中華ばっかな気が・・・。これも時代の変化だろう。
筆者によるあとがきにはこうある。
"いま日本人の食生活は激変しつつある。
(省略)ゆえにこの[食卓の情景]が、あるいは記録としての意味をもつようになるかもしれぬ。"
たしかにこの本を読むと、現代の日本人にはなかなか体験できない、豊かでぜいたくでそして繊細な「食」を、文章で堪能することができて、なんだかちょっとせつなくそして実にここちよいのであった。
以上。
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