2008年日本映画
是枝裕和監督
ある家族の1日を描いた作品。
「たんたんと平穏に物語は流れる」ってわけでは決してない。
ある家族の老夫婦の家に息子夫婦と娘夫婦が孫をつれて集まる。
この家族は長男を若くして事故で失っており、この日は彼の命日である。
久々に集まった家族であるが、
みなそれぞれが心に葛藤や、家族の中での居心地の悪さを感じている。
それがじょじょにセリフや態度の中に垣間見れてくる。
表面上は笑っていても、みんながみんな「信頼」しきっていない。
血のつながった親子であっても、年に1回しか会わないとその心は「すれちがい」の連続だ。
ときには父と息子で大声を出しての口ゲンカも起こったりする。
そんなギクシャクとした大人のやりとりを美しい映像で彩っている。
表立ってとくに事件が起こるわけではないけど、登場人物の心の中では葛藤や怒りが渦巻いていたりする。
そして数年後のラスト、
気づいたときには、息子が十分な親孝行をしてあげる前に、
両親はこの世からいないくなってしまう。
「気づいたときには、ちょっと手遅れだ」
こんなメッセージを感傷的にならずに実にサラっと描写している。
見事。
ロバート・アルトマンの群像劇を思い出したね。
あえて欠点を言えば、登場人物が多すぎて、
見終わったあと、いまひとつインパクトにかける気がした。
その分、何度見ても楽しめるのかも。
この映画の主役は樹木希林でしょう。
冒頭はやさしいおばあさんと思いきや、
じょじょに明らかになってくるその心の闇。
息子を失ったことへの憎しみと執念。
マジですごかった。
というわけで、丁寧に作られたいい作品です。
(生涯663本目の作品)
0 件のコメント:
コメントを投稿