2010年7月8日木曜日

森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」


「森見登美彦、新境地へ!」というオビのコピーに異論はない。
でもちょっと物足りない作品だった。

主人公は小学生のアオヤマ君。これまでの森見作品にはいなかったタイプだ。
作品はこのアオヤマ君の小学生にしてはちょっと生意気、よくいえば達観している「語り」ですすめられる。
この主人公の語りは大変面白かった。

そのほかの登場人物もなかなかいい。
同級生のウチダくん、ハマモトさん、スズキくん、この3人はとくにいい。
物語のキーとなるのは「お姉さん」なる人物。
このお姉さんの描写がちょっと浅いというか、深みにかけた気がした。
このお姉さんの物足りなさが結果として、物語全体にも物足りなさを与えていたと思う。
中盤から物語がダレ始めて、そのまま終盤に突入し盛り上がりきらないまま終了・・・。
一連の出来事が結局なんだったのか、イマイチ消化不良だった。
「お姉さん」は一体なんだっだのか、
アオヤマ君はなぜそこまでお姉さんを好きだったのか、
もうすこし詳しい描写がほしい。
説明ではなく、描写ね。
これまでの森見作品はどんなに非現実的なことがおこっても、
最終的にはしっかりと論理的なオチが着いていた点がオレは好きだった。
そのオチがこの作品には足りないんだ。

決してつまらないわけではなかったが、読み終わったあとには色々と物足りなさを感じる作品だった。
以上!!!

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