2007年6月8日金曜日

「ローズ・イン・タイドランド」鑑賞。


2005年アメリカ映画 テリー・ギリアム監督

鬼才テリー・ギリアム監督作品。登場人物はみなヘンテコでどこか狂っている。後半からは主人公を含めてほぼ3名だけの登場人物で物語は進む。物語もどうってことなくこれといった劇的展開もラストまではない。

にもかかわらずラストまで眠くならず、また観終わった後もこの作品の世界が頭の中に余韻となってほのかに残っている。決してつまらなくはないのだ。
その原因は主演のジョデル・フェルランドの素晴らしさにつきる。テリー・ギリアム独特なグロテスクな映像世界も彼女のパワーにかかれば全て輝きを放ち始める。孤独でありながらも目に映るもの全てを逞しい想像力で楽しんでしまう彼女のパワーは素晴らしい。
この作品は彼女なしではありえなかったといっても過言ではない。

金色に輝く草原の映像も美しく印象的だ。
テリー・ギリアム監督は広角レンズを用いて圧迫感を出し、観る者を不安にさせる演出が得意だが、
この作品でも広角レンズを多用しているもののそういった疲れはあまり感じない。
彼独特のクドさがさほど感じられないのもこの作品の特徴だ。

心に強く残ったり大きな感動を呼ぶことはないが、
ちょっとだけ日常を忘れたいときにはオススメの作品である。
(生涯579本目の作品)

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