昨年の秋にレンタルで観て衝撃を受けたのが「嫌われ松子の一生」である。
こんなに勢いがある日本映画は久々だった。
それから数日後におもわず「愛蔵版」DVDを購入した。
が、それから1年近くたったが特典映像は観たものの結局本編はまだ観ていないままだ。
この作品は観るのにそれなりの覚悟が必要だと思う。
懸命に生きて愛をもとめればもとめるほど、どんどん人生を堕落していく主人公松子の生き様はなんともしんどいのだ。
登場人物たちも全員が愛をもとめるのに必死で生きており観る者に強烈なインパクトを残す。
クドカンが演じた作家とか怖いくらいにすごい。
これだけ登場人物が多くても、みなしっかりとそれぞれの役割を背負っておりムダがないのはすごい。
そしてそんなドロ沼劇を中島哲也監督は独特の映像世界で派手なミュージカル映画に仕上げた。
力強く派手な映像はこの作品の勢いや登場人物達のあらゆる情念とエネルギーをより一層濃いものにしており見事である。
「下妻物語」もそうだったけど、一見映像が派手すぎるようだが、実は「物語」がしっかりとあって映像はそれを盛り上げるための小道具にすぎないのが中島監督とほかの映像だけで中身のない日本映画監督との決定的な違いなんだと思う。
物語のスピード、派手な映像、登場人物の多さなどありとあらゆる面で実に「濃い」作品だ。
それだけに観るのにはそれなりの労力が必要なのだ。
だから購入してもなかなか「また観よう」という気にならずに1年経ってしまったわけだ。
そろそろ観てみようかなと思う。ちょっと怖いけど。
誰がなんといおうと「名作」であることに間違いはないのだから。
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