2008年3月9日日曜日
「サッドヴァケイション」観賞。
2007年日本映画
青山真治監督
浅野忠信のカッコよさを再認識した。
「Helpless」と「ユリイカ」に次ぐシリーズ3部作とのことで、設定も基本的にはこの2作を引き継いでいる。この2作を観ていない人には、わかりにくい部分が多いと思う。
主人公は「Helpless」で衝動的に殺人を犯し、自殺したチンピラの妹を連れて行方不明になったままのケンジ(浅野忠信)。
幼い頃に見捨てられた母親(石田えり)と偶然再会し、母親への復讐をしようとたくらむ。
がしかし、最終的には母親のほうが1枚も2枚も上手であり、親子の縁は切れないまま、これまでの彼自身の苦悩や葛藤などがなんでもなかったかのようにして物語は終わる。
この作品は親と子の物語であり、そして男と女の物語でもある。
石田えりの存在感がすばらしい。
男達はみな何かにおびえるようにして時に感情的になり、必死で生きているのに対し、この映画に登場する女性達はみな、堂々としていて何事にも動じることなく凛としたたたずまいを見せている。それは単なる強さという以上に、理屈なんて通用しない、男とは全く違う次元でのずぶとさのような無限の強さである。
母親に見捨てられ、父親に自殺され、殺人を犯し、人生を暗く過ごしているケンジは、このような人生になった諸悪の根源である母親への復讐を固く誓うのであるが、思うようにはいかず、結局は母親の無限の愛の前になすすべがないのであった。
しかし浅野忠信の心にでっかい闇を抱えたままの緊迫感あふれる鋭い演技は、やはりオンリーワンでかっこええ。オダギリジョーとの共演場面もかなり見ものだ。オダギリも旬な俳優であるが、鋭さと狂気という点では、浅野忠信には全く及んでいない。まあこの作品のオダギリがそういう役なんだが。
期待してなかったけどそれなりに面白い作品だった。
あ、宮崎あおいはあまり意味あったようには思えなかったが・・。
(生涯620本目の作品)
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