「潜水服は蝶の夢を見る」鑑賞。

監督:ジュリアン・シュナーベル監督
2007年アメリカ･フランス映画

素晴らしい作品だ！

「ELLE」の編集長であるジャン･ドミニクは突然の発作で脳梗塞を起こし、全身が麻痺。残されたのは意識と左目のみ。彼は周囲の医師や関係者の協力を得て、まばたきによって言語を表現するようになる。そして最終的には自伝の出版まで成し遂げるのであった。

左目のみという状況でも、決して後ろ向きにならずに、終始ユーモアを忘れずに希望を捨てなかったジャン･ドミニクを演じたマチュー・アマルリックの演技は実に素晴らしい。

ここで重要なのはドミニクが肉体の自由は失っても、「意識」や「豊かな感性」の自由は失わなかったという点であり、そしてこの「意識、豊かな感性」の自由があれば人生はいつでも希望があるのだという事だ。
時としてドミニクの不自由な肉体に対して、自由奔放で豊かな想像の世界が映像化されるのであるが、これが実に素晴らしい。実際は麻痺のために口から食べ物を摂取するのが不可能なドミニクが、想像の世界で思う存分高級な料理を堪能し、生カキを何個も実にうまそうに食べる場面とかね。

全身が麻痺しても、希望を捨てずに前向きな生き方ができたのは、彼が本来持っていた「感性」と「想像力」のおかげなんだろう。
やはり人間、金や地位もいいけど、「想像力」や「感性」はもっと重要だな、なんて思った映画だった。

流氷がコナゴナに崩れ落ちる場面が頭から離れない。
映像も、演技も、そして音楽もまた実に良い。

人が生きる魂と、豊かな想像力に満ち溢れた名作である！
死ぬまでに出来れば見ていただきたい作品だ。
以上！
（生涯637本目の作品）