2007年12月3日月曜日

「ショート・カッツ」鑑賞。


ロバート・アルトマン監督
1994年アメリカ映画

個人的にずっとDVD化を切望していたアルトマン「ショート・カッツ」が気づけばDVD化していた。
しかも3時間以上のこの作品がなんと2500円!もちろん即購入。

高校時以来、12年ぶりの鑑賞だったが、最高に面白かった。
最近でこそ多くの映画で用いられる「複数のエピソードと登場人物達が微妙にリンクして物語が進んでいく」という手法の作品の中で、最も痛快でかつスタイリッシュ(たとえ収録時間が188分あっても)なのはこの「ショート・カッツ」に他ならないのではと思う。

登場人物達はみなアル中だったり家族とうまくいっていなかったり、過去に秘密があったりと一癖ある人ばかりなのだが、アルトマンのどこかクールで突き放したような視点のおかげで見ていて疲れない。あっという間の188分だった。

アメリカインディペンデント作品の象徴ともいえるトム・ウェイツとリリー・テイラーの2人が出てきただけでももう満足。そのほかティム・ロビンスやロバート・ダウニー・jrも素晴らしい。が、なんといってもこの作品は常に性欲に支配されるバカな男達に対して、一歩も二歩も上手でしたたかで強い女性陣が実にリアルなのである。マデリーン・ストーンとジュリアン・ムーアの姉妹、複数の愛人をもちしたたかなフランシス・マクドーマンド、自宅で子供の前で大声でテレフォンセックスを業務的にこなすジェニファー・ジェイソン・リーなど。青春なんてにとっくのとうに忘れたかのような彼女達の演技はリアルでかつパワフルである。それに比べてティム・ロビンスやクリス・ペンなど男達は実にマヌケだ。

「男と女」、「親と子」、「生と死」、「結婚と浮気」など現代において人間が生きる上での日常的なありとあらゆるテーマを、そのどれにも感情移入しすぎることなく、どこか冷めた視点でテンポよいジャズに任せて軽快に物語は進む。このリアルさと面白さは見事としかいいようがない。

「人生とはなんなのか?」という事にたいして大してドラマチックなエピソードがなくても優れた監督の力があればこれだけ面白くリアルな作品が撮れるのだ。
ロバート・アルトマンの手腕の凄さを改めて痛感した。

「ショート・カッツ」の面白さを堪能しつつ、
「『ザ・プレイヤー』もDVD欲しいな~」と思った今日この頃であった。

(生涯608本目の作品)

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