2007年7月25日水曜日

Adriana Calcanhotto LIVE at LIQUIDROOM


大学時代の親友からお誘いがあり、本場のブラジル音楽のライブに行ってきた。
ラテン音楽雑誌「ラティーナ」主催のライブであった。
出演者は、
アドリアーナ・カルカニョット
モレーノ
ドメニコ
カシン
の4人。基本的にはアドリアーナがメインで歌っていたが他の3人も何曲かボーカルをとっていた。
全く予備知識なしでいったので4人とも知らなかったけど、本場のラテンミュージックをゆったり楽しむことができた。
何よりも感じたのは彼らと音楽との「距離感」が日本人とは全く違うということである。

前半から中盤まではゆったりとした静かなサンバやボザノヴァの曲が続く。
ドラムやパーカッションといったリズムをとる機材はなく、その代わりに終始ドメニコがMPCというサンプラーのような機材でリズムを指で弾きだしていた。その結果どの曲も楽器の音は非常にシンプルで静かなものとなり、アドリアーナの歌声が曲のメインとなってゆったりとフロアに響き渡った。
4人とも音を楽しむようにリラックスしながら演奏しているように感じた。
アドリアーナの深みのある歌声はこれぞブラジル!といった感じで知的で奥深くやさしい。まさしく美声であった。そしてカエターノ・ヴェローゾが父だというモレーノの歌声もまた繊細で切ないファルセットボイスが心地よかった。4人とも決して熱唱はせずにささやくように歌うその力の抜き具合が絶妙であった。

後半になるとアップテンポの曲で会場からも手拍子が起こり盛り上がりを見せた。ここではMPCが打ち込みのようなリズムになって、曲をよりポップなものに変えていたのが印象的であった。
2回のアンコールでライブは終了。

前半の静かな雰囲気が良かった。ああいう風にシンプルにギターでリズムをとって、ささやくように静かに歌うというのは日本では見られないやり方だと思う。裏を返せばそれは生活の中に音楽が溶け込んでいるからできる事なのだと思う。彼らにとっては音楽が日常の中に自然とあるので、変に力んだり叫んだりする必要がないのだろう。大規模なロックフェスなどで非日常として音楽を楽しむ日本人とは音楽との距離感が違いすぎるのだ。
途中ドメニコがボーカルをとっている曲の最中にアドリアーナがなんとリンゴをかじってそのかじる音を流していた場面があったが、彼らにとって音楽とはリンゴをかじることとそう大差ないごくごく自然な日常の一行為なのであろう。
楽器にしても4人全員が各々ギターも弾けばベースもひき、チェロもこなす。それもごくごく当たり前のようにリラックスして弾いており全くもって気負いがなく自然である。
「音楽」とは音を楽しむと書くが今日の4人はごくごく当たり前にそれをやっていたと思う。

「音楽」を日常を忘れるための非日常として楽しむのではなく、日常の中に当たり前のように「音楽」がある、そんな人間になりたいものだが日本にいる限りは難しいだろう、なんて事を考えた夜であった。

SUN SET LIVEまであと37日!

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