2007年7月21日土曜日

「アヒルと鴨のコインロッカー」鑑賞。


中村義洋監督
2006年日本映画

恵比寿ガーデンシネマで本日から公開の「インランド・エンパイア」を観る事ができなかったので、仕方なく同じ場所で上映中の「アヒルと鴨のコインロッカー」を観てきた。
原作は伊坂幸太郎。私の好きな作家だ。ちなみに原作は読んでいない。

面白かった。そして感動した。
もともと伊坂幸太郎の作品は物語の展開が実に巧妙でセリフもしゃれているので読んでいて「映画化したら面白そうだな」と何度も思っていた。本作も物語展開とセリフのうまさで観るものをグイグイ作品の中に引き込んでいく。しかもただ面白いだけじゃなく予想以上に感動的なのだ。

役者が良い。難しい設定のキャラを力まずに見事に演じた瑛太、短い登場ながら強烈な印象を残す松田龍平、観客の視点でとまどいながら物語に巻き込まれていく濱田岳、意志の強いヒロインをまっすぐに演じた関めぐみ。設定にはかなり無理があるものの、全ての登場人物が懸命に生きようとしているゆえに観ていて非常に感動した。複数の人物が避けられない運命に巻き込まれながらもそこから抜け出そうともがいている様子はまさに伊坂幸太郎の世界そのものである。
音楽を効果的な道具にするのも伊坂作品の特徴である。この作品ではボブ・ディラン「風に吹かれて」がテーマソング的な役割をしているがどこか世間を冷徹な視点で見つめるディランの声とこの作品が実によくマッチしていたと思う。

原作は読んでいないけど予想以上に感動的な悲しい世界であり伊坂幸太郎のことをまた少し好きになった。
いい気分で19時からの「インランド・エンパイア」がまだ上映中のガーデンシネマを横目に恵比寿を後にしたのだった。
(生涯592本目の作品)

SUN SET LIVEまであと41日!!

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