2007年7月26日木曜日

森見登美彦「太陽の塔」


森見登美彦のデビュー作品。
全編通して京都を舞台に必死でのたうちまわる京大学生の行き場のない青春物語である。

これほど笑い、そしてこれほど主人公に共感した本はいままでなかった。

妄想好き、自意識過剰、根拠のない自信を持ち、過去の失恋を引きずり、世間の恋愛礼賛の風潮を批判etc読めば読むほど自分と重なって仕方なかった。しかも世間を批判しながらも結局はそんな世間とつながっていたいという願望を持っているただの寂しがりやさんなのだ。

この主人公の心情、哲学に基づく独特の文体は大変リアルで面白い。登場人物もほとんど男連中のみで、これまた男くさく、どこか屈折した面々ばかりだ。しかもクールではなく全力で屈折しているのでなんとも暑苦しいのだが、そこが愛らしくて憎めない。
この作品の登場人物はみな己の確固たる信念に基づき、自分達を認めない世間に対して必死で抵抗し戦っているのである。
その戦いはラストで想像を絶する面白さとなって京都の四条を中心に無差別テロのように展開する。この面白さは是非ご自分の目で読んで確かめていただきたい。よくまあこんな展開思いつくよ、ホント。

さえない青春からふっと抜け出したような幻想的な夢(妄想?)の場面が所々に入り込むのもまた良い。
この作品で森見登美彦にすっかりハマってしまった。他の作品もどんどん読みたいと思う。

さて、今回紀伊國屋書店で購入したのだが、帯にかかれた店員によるオススメコピーがこれまた秀逸であったので記しておく。

妄想が暴走
欲望が迷踪
失恋で遁走
男達は失踪
我々は爆笑

by紀伊國屋書店本町店 酒井和美

この韻を踏んでいる部分がなんとなく向井修徳っぽい気がしてならんのだが・・。
本町店の酒井氏はZAZEN BOYS好きなのだろうか?なんて考えたりした今日この頃である。

SUN SET LIVEまで36日!

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