2009年6月8日月曜日

奥田英朗「最悪」


奥田英朗の犯罪小説。

「最悪」な状況においこまれた3人の登場人物が微妙にかかわりあいながら
ある1つの銀行強盗の場面へ見事に収束していくクライムストーリー。

とにかくテンポがよいのであっという間に読めた。

部分部分でリアリティの弱い場面はあるが
トータルとしては面白い。

一番心に響いたのは従業員2名を雇う町工場の経営者 信次郎かな。

チンピラの和也の物語は序盤はすんげえ面白いけどヤクザが絡んできてからはイマイチだったな。
何度も同じヘマばっかしてんだよな。
彼ら2人とは全く違う世界である「かもめ銀行」の行員たちの描写も見事。
これら全く別々の人生、世界3つを見事に絡ませて収束していくさまは実にスリリングである。

映画でも小説でも、群像劇が当たり前な現代では珍しくはない話だけど、なんといっても登場人物達の心の闇や葛藤をこれでもかと執拗に描いた部分が素晴らしい。
読む価値は十分ある。

以上!!!

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