2010年7月19日月曜日

遠藤周作「わたしが・棄てた・女」


この間京都出張のときに四条の本屋さんで買った。
帰りの新幹線で読み始めてあっという間に読めた。
かなり軽い文体でテンポもよく大変読みやすい。
前半だけ読んでると「なんかコミカルで面白いなあ」と思うんだが、
森田ミツの登場から物語はどんどん暗くなってくる。
夜の渋谷とか新宿の描写とか、
場面場面の暗い描写が見事で読むものの心にジトーっとやな空気を運んでくる。
遠藤周作の「愛」とか「神」といった要素もしっかりと入っている。
エンディングはなんとも哀しい。
「どうにもならない悲しみ、苦しみ」の前にどうにもならない人間。
こういう作品にはリアリティを感じてしまい、個人的に好きである。

決して明るい作品ではないが、オススメです。

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