2007年6月13日水曜日

「弓」鑑賞。


2005年 韓国映画
キム・ギドク監督

実に面白かった。けどラストはちょっと・・・といった感じだ。

船の上で生活をする老人と、6歳の頃彼に拾われて以来船から1歩も出ずに育てられた少女との奇妙な恋物語。老人は少女が17歳になったら結婚する気でいるが、少女はある日外からやってきた若い青年に魅かれてしまう。

この間観たキム・ギドク監督の「うつせみ」同様最初から最後まで主人公二人にセリフは一切なし。表情のみでの演技である。少女を演じたハン・ヨルムの妖艶さがセリフがないことで余計強調されており印象的。
1艘の船内でたった二人の人間を中心に繰り広げられる愛憎劇はセリフがないだけに観るものの心にダイレクトに伝わる。1日1日が過ぎていく中で次第に老人から心を遠ざけて青年へ心を移していく少女と激しい嫉妬に狂う老人の葛藤は見ごたえ十分で面白い。

が肝心のラストがどうも納得いかない。詳細は書かないがこれではこの老人ってただの変態老人なだけじゃないかと思ってしまった。それをやったらおわりだろと。
しかもシークエンス的にも間抜けでそれまでの張り詰めたドラマが台無しな気分。
やや興ざめしてしまった。
まあ最初からキム・キドクは歪んだ愛しか描かないと思って観れば何とも思わないかもしれないが。

「うつせみ」「弓」とこの2作でキム・ギドク監督の作品はどっか狂ってるんだけど映画としては間違いなく面白いと感じた。他の作品も観てみようと思う。
(生涯581本目の作品)

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