2008年2月27日水曜日

村上春樹「ノルウェイの森」


「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」があまりに面白かったので家にあった「ノルウェイの森」を5年ぶりに読んだ。
面白い。
5年前は全くこの作品を解ってなかったことを痛感。

「生と死」そして「性と死」が美しい文章で書かれている。

登場人物はみな世の中と少しづつずれながら、多かれ少なかれ「死」や「喪失」をその人生に内包しながらも、文字通り「必死」で自分なりの哲学に従って生きようともがいている。
なので一人ひとりのセリフが非常に力強く、繊細だ。

「自分に同情するな」、「努力と労働は違う」などなど名言も多い。

直子が療養する施設は「世界の終りと~」にも共通する世界だと思った。

-死は生の対極ではなく、その一部として存在している-(本文より)
「死」や「喪失」について真正面からの描き、なおかつその中にどっぷりと漬かっていく恐怖や苦悩まで描くこの作品の前には、昨今の恋愛小説などで多い「恋人の死=涙」という安易な描写がバカバカしく思えてきた。

以上。

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