面白かった。
北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんによる本。
この本は大きく2部に分かれており、
1部は筆者が日本に帰国後、数年経ってから訪れた韓国の様子を描いた旅行記であり、
2部は筆者が日本に帰国後、第2の人生を初めてから、一念発起して翻訳家デビューを果たして現在に至るまでを書いた自伝的内容である。
文体はエッセイのようにソフトでとっても読みやすいために、
北朝鮮拉致に関する深刻なドキュメントだと思って読み始めると最初は肩透かしを食らうかも。
しかししかし、韓国訪問記にも、そして日本での第2の人生にも、
どちらにもそこには筆者が「北朝鮮」という国で過ごした生活、文化が、決して忘れることのできない数々の経験が、暗い影のように随所随所に現れるのだ。
筆者がダイレクトに痛烈に北朝鮮を批判はしないのは、いまだ帰らぬ拉致被害者がいるからだろうか。
とはいっても文章の行間から筆者の北朝鮮に対する絶望にも似た深い深い嫌悪感はひしひしと伝わってくる。
読みやすいがとっても深くて考えさせられる。
北朝鮮からのミサイルの射程距離内の国に住む人間であれば、
ぜひ読んでおくべき1冊ではないかと思う。
1 件のコメント:
北朝鮮と日本の関連の本の中ではこれも面白いですよ。
’宿命; よど号亡命者たちの秘密工作'
(新潮文庫)
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