2008年1月31日木曜日
伊坂幸太郎とサンボマスター。
伊坂幸太郎の「砂漠」は、伊坂作品にしては珍しく、フツーに読みやすい大学生が主人公の青春ものである。
この物語に出てくるパンクロックを情熱的に愛する西嶋というキャラは、誰がどう読んでも、サンボマスターの山口隆がモデルとなっているのは一目瞭然である。
そして西嶋のセリフに次のようなものがある。
「俺たちがその気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕で出来るんですよ」
そんでもって、最近毎日のようにサンボマスターの新作を聴いているのだが、「VERY SPECIAL!!」という名曲の歌詞に思わずハッとしたのだ。
「♪サハラ砂漠土砂降りの雨 君と笑うために降らせるの♪」
だってさ。
え!これってもしや「砂漠」の西嶋へ対する山口の返答なのか?
なんて思ったりしたけどよく考えたら「雪」じゃなくて「雨」だし、きっとただの偶然だな。
それにしても面白い発見だった。
本と音楽、異なるジャンルが絶妙にリンクした瞬間って実に面白い。
以上!
2008年1月29日火曜日
悩ましいニュース。
思えば昨年はライブチケットをよくムダにしたものだった・・。
特に平日は仕事次第ではどうしても行けなくなるときが多い。
そしてオレは思ったのだ。
「今年は平日のライブは基本的にやめよう!!」と。
とかいいつつすでに2月は木曜日にアロウズが入っていたりするのだが・・。
そしてそんなオレにこれまた悩ましいニュースが!
モーサムが4,5,6月の最終水曜にリキッドルームでマンスリーライブ決定!!!
しかも各月のライブ内容はメンバー各人が交代でプロデュース!!!
つまり3回とも全く趣向の違うライブになるという事なのだ!
こんな事やってくれるモーサム、やっぱあんたらロックンロールだよ。
さてと、どの月に行こうかな~。
とかいって多分3回ともチケット買っちゃうんだろうな~。
「旅順」
2008年1月27日日曜日
マボロシ LIVE at LIQUIDROOM
ライムスターのマミーDと、スーパーバタードッグの竹内朋康によるユニットがマボロシである。
ラップとギターをメインにバンドをバックに素晴らしいエンターテイメント感あふれるライブを見せてくれた。
会場に着いて、リキッドルームの「関係者受付」付近で開場を待っていると、後ろから「すいません、すいません」と腰を低くして、人ごみの中をかきわけて受付に近づく関係者が。誰かと思って振り返ると、出たああ!!ライムスターの宇多丸師匠じゃないか!!スキンヘッドをフードで隠していても、長身でサングラスをかけているその姿はいやでも目立ってしまい、開場待ちの人ごみからは一斉にどよめきが起こった。カウントダウンジャパンでもすれちがったんだよね。こうも短い期間に2回も至近距離で会えるとはなんか嬉しい。
フロアへ行くと、リキッドルームのキャパをオーバーしてるんじゃないかと思うほどの人の多さで、前方から後方まで人でギッシリと埋まっていて、熱気がすごかった。やっぱ人気あるのだ。
ライブの内容は気迫のこもったマミーDのラップと、ねちっこくそれに絡みつく竹内氏のギター、そして終始安定したバンドの演奏で期待通りの楽しさであった。
まずはイントロ「極楽鳥」でバンドが登場し演奏を開始。その後竹内氏がインロトを刻んで「超ジェラス」へ。ここでマミーDが登場!白いシャツに白い帽子という白系のファッションであったがこれが良く似合うんだよな~。
序盤から中盤まではニューアルバム「ラブシック」の曲を中心に、CDよりも力強いバンドの演奏がグイグイとグルーブを生み出していたのが印象的。「The Dungeon」なんてバリバリのハードロックになってて凄かった。
中盤からはゲスト参加の曲で盛り上がった。まずはRYO the SKYWALKERが登場。独特のガナリ声に乗せて「あのコどこのコ」で多いフロアを沸かせた。その後は軽快な「ペニーレイン」、そして「密会」をバンドのみの演奏でディープに披露。竹内朋康のギターが切なく唸りまくる。ここではマミーDはステージから姿を消していた。このインタールード的な曲が終わったと同時にマミーDが黒に着替えて再登場。曲はファーストアルバムの1曲目である「泥棒」。ここから第2部的といった感じで、ファーストアルバムの曲が続く。「マボロシのほし」ではみなタオルを回す回す。オレも回したよ。スクービードゥーのタオルだったけどな。
その後もCHANNEL、K.I.N、CUEZEROの3人登場で「廻し蹴り」、「ブレーメン」と2曲を披露。
終盤ではTARO SOUL、KEN THE 390の2人が参加し「饒舌エクスプレス」を凄まじい速さで披露。この曲のスピード感はホントすごい。
「饒舌~」が終わって、「もうゲストも出きったかな~。」なんて思っていたが、まさかのKREVAが登場!!会場は一気にヒートアップ!「ファンキーグラマラス」で「マジでハンパない!!」コールで観客を沸かせた後は、そのまま「ファンキーグラマラスpt2」を披露。KREVAは正直他のゲストとオーラが違ったね。
本編はファーストシングルでもある「SLOW DOWN!」で終了。
アンコールではライブでやるのは初めてだという曲紹介でF.O.HとKOHEI JAPAN(マミーDの実弟らしい)が登場し「DEAR MY HOME GROUND」。地元横浜への愛情を歌ったというこの曲はメロディアスなF.O.Hの歌声が実に心地よかった。こうしてゲスト出演は全て終わり、アンコール2曲目はしっとり切ない「HARDCORE HIP HOP STAR」。これがCDとは全く違うアレンジで、竹内氏はアコースティックを情熱的にかき鳴らしており実にエモーショナルだった。大きな拍手につつまれて終了かと思いきや、D氏が「もう1曲やろう!!」と提案し「HARDCORE HIP HOP STAR pt2」でアッパーに終了。
バンドの状態もいいようで安定していた。
「オレ達にはライムスターとスーパーバタードッグというそれぞれの本妻がいる。『マボロシ』はいわば不倫なんです。不倫でしか出来ない(ドキドキする)ことをやりたい。それができなきゃ意味がない。まだまだ新しい音楽をやっていけるとオレは思う。ロックのような新しいヒップホップをやりたい。」とマミーD氏は熱く語っていた。よほど創作意欲も高まっているようで、すぐに3月から新たなアルバムの製作にとりかかるという。12月にリリースしたばかりなのにだ。
というわけでマボロシの現在の勢いをダイレクトに感じたライブであった。
今後の活躍に期待大である。
2008年1月26日土曜日
送別似顔絵公開!
2008年1月24日木曜日
サンボマスター「音楽の子供はみな歌う」
サンボマスターの新作を買った。
前作から1年9ヶ月ぶりのリリースとなる。
06年4月にリリースされた前作「君と僕の全てをロックンロールと呼べ」はタイトルからして大げさであるが、その内容もとっちらかっていて混乱を極めており、その上音質がやたらと悪く、総じて「聴きにくい」作品だった。
しかも8月にZEPP東京で行われたこのアルバムのツアーファイナルライブの内容がまだ酷すぎて、正直「サンボ、終わったな・・」と思ったりした。それ以来シングルがリリースされても特に購入はしていなかった。
そして新作である。期待と不安が入り混じる中、恐る恐る聴いてみた。
1曲目「光のロック」タイトなリズムで疾走感あふれるロックンロール。ムダがなくていいじゃないか。
2曲目「揺れるラブマンのテーマ」これまたタイトでブリブリのロックだ。まさに2曲目にふさわしい。悪くない。
3曲目「愛することのすべて」あれ、この曲「光のロック」と似てねー?でも悪くはない。
4曲目「少年エレクトリック」前奏のギンギンのギターだけで燃えるな~。これまたロックしてるわ。いい!
ここまであっという間に4曲が終わる。ここちよい疾走感だ。
5曲目「VERY SPECIAL!!」おお!これ最高!!最近8ビートに飽きてきたオレにとってこの4つうちのリズムは実によい!しかもメロディもすげーいい!4曲目まではロックンロールで飛ばしておいて、5曲目にドッシリとこの曲で来るとはやるな。
というわけで5曲目までしか聴かなくても明らかにこのアルバムが名作(少なくとも前作よりは)であることがわかって安心したのだ。
ライブも行ってみようかな~。
2008年1月22日火曜日
Rodrigo Y Gabriela「Rodrigo Y Gabriela」
相変わらず寒い。
風邪を引いてもなかなか直らない方も多いだろう。
そんなアナタにいいCDがこの「ロドリゴ イ ガブリエラ」なのだ。
残念ながら日本盤はまだリリースされておらず(とはいっても3月には発売されるらしい)現在手に入るのは輸入版のみである。
このCDを部屋で流せば、そこはたちまち情熱と躍動感溢れる南米の地へと変わるのだ。
寒かった体にも、芯まで火がつくこと間違いなしである。
ギター2本のみの男女2人のメキシコのユニットであるが、このスパニッシュギターのテクニックとリズム感は人間離れしており、ギター2本だけといえども凄まじい熱量で、繊細かつ情熱的なグルーヴを帯びている。
そしてまた全ての曲のメロディがなんといいことか。1度聴いただけで覚えてしまうキャッチーさなのだ。
なんと3月30日には来日が決定。
先日eプラスで先行申し込みをしたばかりだ。当たるといいな~。この演奏を生で見たら狂喜乱舞するだろう。
寒いいまだからこそオススメの作品です!!
2008年1月20日日曜日
SCOOBIE DO,YOUR SONG IS GOOD LIVE at 下北沢CLUB QUE
ユアソンとスクービーの2マンである。
新年2回目のライブにしてとんでもないものを観てしまった。
まだ1月だけど、恐らく今年観るライブの中でもベスト10には入るんじゃないかと本気で思う。
下北沢は町全体がライブハウスのようだ。
落ち着きがなく、混沌としていてどこかポップなのだ。
憎めない街である。
CLUB QUEもいかにもライブハウス然としたライブハウスであった。
キャパは500人くらいだろうか。コインロッカーはなし。狭い。ステージ近すぎ。
仕方なく上着を隅の方の床に脱ぎ捨てて開演を待った。
まずはユアソン。これが予想の100倍いいライブで、早くも踊り疲れてしまうくらい踊ってしまったのだ。
彼らのライブを観るのは2回目であったが、その安定したグルーヴはより性急さを増しておりフロアはモッシュの嵐と化した。楽しいだけじゃなくて、意外にロックで熱いのだ。
サイトウジュン氏いわく「いまバンドのノリが非常に良くて、4文字で表現するなら、そう、ピー、ユー、エヌ、ケーなんです!つまりPUNK!!!」とのこと。
なるほどなと思ったね。そう、いまのユアソンは正にパンクなんだよ。踊れて楽しい真夏のサウンドだけじゃなくて、ロックの持ってる性急さとスリルが濃厚なのだ。
そんなこんなで予想以上に熱いステージに、自然に体が動きかなり汗だくになってしまった。
特に後半大好きな「CALYPeeeeee!SO」をやってくれたのは嬉しかった。あとは昨年の名作「アイツによろしく」も良かったな~。
というわけで予想以上の素晴らしさにフロアはしっかりと暖まったのだった。
そしてスクービードゥーである。
おなじみアート・ブレイキーのSEでメンバー登場。
いきなり「BACK ON」、「DISCO RIDE」と踊りやすい曲が続く。テンポは原曲よりも遅いのだがその分踊りやすい。そして観客のノリが明らかに尋常じゃない。いやオレもその尋常じゃない一人なんだけど・・。なんだろう、このすごい盛り上がりは。そう思いながら笑顔で踊りまくった。小山シュウも「今日はなんかアンタらとうまくやっていける気がするぜ、バーディー!!」と今日の客の様子を相当気に入った様子であった。
もうスクービードゥーの安定したグルーヴとリズムは言葉にできないレベルまで達しているのだ。まさに職人芸だ。こういうファンクの腰にくるノリを出せるバンドは日本ではコイツら以外にはまずいないと思う。観客もそれを分かってるから踊り狂ってるんだよ。
そんなこんなでニューアルバム完成の告知や、その中からの新曲を披露して狂熱のライブは続き、終盤「LITTLE SWEET LOVER」でクライマックスへ。この曲で小山シュウはスタンドマイクを観客席の方へ伸ばして「ヘイヘイ!オーライ!!」というフレーズを客の一人一人に叫ばせるというお決まりの行動がある。まあせいぜい10人から20人くらいのステージ前方にいる観客にしかできないことなのだが、オレの会社の先輩で大阪在中のKさんはなんと昨年この「ヘイヘイ!!オーライ!」をすでにやり遂げた男なのである。しかもスクービードゥーライブ歴は明らかにオレよりも浅いのにだ。こんなことがあっていいのか、いやいいはずがない。
なので今日「LITTLE SWEET LOVER」が始まった瞬間オレは思った。
「今日こそはマイクに向かって叫ぶのだ!!」
そしてステージ前方へ移動。といってもすでに前方で踊っていたのだが。
そしてなんとか運よく小山シュウから選ばれたのだった!
彼から差し出されたマイクに向けて力の限り絶叫した。
「ヘイヘイ!!!オーラアアイ!!!」
やったのだ。スクービーライブ8回目にしてついにオレはやった。
というわけでこれだけでもうすでに満足な夜だった。
本編はこの曲で嵐のように終了。
アンコールは「ロックンロールは未定」1曲で終了。
そこにいる誰もが彼らの凄さに圧倒されて狂っていたのは間違いない。
そんだけすごいライブだった。小山シュウの声はかなりかれていてあまり出ていないかったけど、それでもバンドの強固なグルーブがそんなこと気にさせないくらい素晴らしかったのだ。
帰り際放心状態で地上へ出る階段を登っているとCLUB QUEの店員らしき男性の方が、
「・・ライブ・チャンプってのは確かにうなずけるよな・・」
と静かに語っていた。
そう、たとえセールスは振るわなくても、彼らは正真正銘の「ライブチャンプ」なのだ。
というわけでスクービードゥーとユアソンの熱すぎるライブを堪能した素晴らしい夜であった。
ライブハウスから出ると下北の街は寒かったけど、オレの心は家に帰るまでずっと熱かったね。
Kさん、今夜オレも叫びましたよ!
以上!
吉井和哉「失われた愛を求めて」
百々和宏「泥酔ジャーナル」
2008年1月16日水曜日
「フランドル」観賞。
2005年フランス映画
ブリュノ・デュモン監督
カンヌ映画祭でグランプリを受賞した作品だそうだ。
確かに、独特の力量とセンスを持った監督が現れたなという感じではあった。
ジャケットを見ると派手な戦争映画を予想されるかもしれないが、全くそうではないので注意!
全編退廃的かつ絶望的な暴力と性が蔓延しており、なんともしがたい、いや~なムード全開の作品。
がしかし、映像はかなりセンスがあり、1ショット1ショットが絵画のように美しい構図で切り取られている。
淡々と物語が進む中で、音楽を使わずまたセリフも少なく、登場人物の表情のみで語らせる手法をとっており、派手な演出の多い最近の映画とは一線を画しており斬新ではある。その結果、終始独特の緊張感が張り詰めており、気づけば画面に目が釘付けになっていた。特に戦争の場面の緊張感とリアリティはかなりのものであり目が離せなかった。
ただし登場人物が全員狂っているような感じであり誰にも共感できず、観ていてただただ疲れるだけの作品だった。人間描写とドラマについてはまだまだ荒削りな点は否めない。
キラリと光る独特の演出力にカンヌグランプリもある程度はうなずける作品ではある。
ブリュノ・デュモン監督、今後の活躍に期待したい。
(生涯615本目の作品)
2008年1月15日火曜日
オススメブログ
2008年1月14日月曜日
ZAZEN BOYS LIVE at YOKOHAMA BLITZ
今年一発目のライブはザゼン。
やはり松下敦のドラムが最高だった。
寒さが厳しい中、横浜ブリッツへ。
このライブハウスはアサヒビールがスポンサーであり、そのせいかビールのカップが他のライブハウスよりも明らかにでかい!!
開演前になんとか飲み干すも、かなり酔っ払ってしまった。
例によってテレヴィジョンの「マーキームーン」が場内に響き渡ってメンバー登場。
向井は緑のポロシャツ、カシオマンは最近ライブでよく着ているストーンズの「女たち」シャツ、吉田イチローはこれしかみたことない紫の長袖シャツ、松下敦は派手な柄シャツで登場。
カシオのギターがいつもの黒のギターではなく黄色のギターだった。
舞台上にはドラムがギターとベースのアンプよりも前方にセッティングされており、ギターとベースの3人がドラムを囲むようにしてかなりの近距離で密集しているのを観て、やはりザゼンはもはや「向井のバンド」ではなく、サウンドの中心にあるのはあくまでも松下敦のドラムなのだと再認識した。
以下詳細レポだが曲順には全く自信なし。
まずは「SUGER MAN」でスタート。この奇妙な曲に観客は全くといっていいほど反応なし。オレはといえばもうこの時点で松下のドラムの凄さに目が釘付けだった。酔っ払っているのも原因だと思うが、微動だにしない周囲の客にイラっときてしまった。「おめーら、このドラムのすごさがわからんのか?すこしは体動かせよ!」と思わずにはいられなかった。そんなオレのイラダチに対して2曲目は早くもキラーチューン「RIFF MAN」!この曲の洪水のようなグルーブにオレは気づけば最前付近まで前進して、モッシュの嵐に自ら身を投じ、歓喜の状態で踊っていたのだった。
ここからはいつもどおりの定番曲が続く。「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」「HARD LIQUOR」の後は「SI・GE・KI」。これがニューアレンジで向井はギターでなく鍵盤を演奏。
そしてそのまま「DARUMA」「NABE&SADA」とザゼン流変態的なインストミュージックが連続で続く。この2曲はCDよりもライブのほうがその変態的サウンドとグルーヴの凄さがより伝わってきて良かった。その後は「TANUKI」、そして名曲「WATER FRONT」でしっとりとクールダウン。その後カシオマンがいつもの黒いフェンダーにギターを変えて「USODARAKE」。その後はワンマンではわりとよくやる「CHIE CHAN'S LANDSCAPE」。このあとはライブの定番「MABOROSHI IN MY BLOOD」→「IKASAMA LOVE」の2連発。そして「THIS IS NORAKEO」と続く。そしてその後からカシオメンがギターを置きMPCを手にとった。そうニューシングルでありザゼン流最新型ダンスミュージックの「I DON'T WANA BE WITH YOU」である。このあとそのまま同じく新作の「CITY DREAMING」と続いた。彼らとしては恐らくこのリリースしたばかりの新曲2曲を連続して展開する場面を本日のクライマックスにしたかったんだと思う。しかし正直この2曲がかなり「単調」だったことは否めない。強靭なドラムとベースのリズム隊はまあ良しとしても、その上にのるのは向井の鍵盤とカシオマンが指で操作するMPCであり、あまりにメロディが乏しく、そしてギターの洪水が荒れ狂うほかの曲に比べるとグルーブ自体も薄いのだ。しかもこの2曲がCDよりも実に長くて、あわせて10分以上はやっていたと思う。最初は体を揺らしていた観客も終盤は明らかに飽きているように感じたし、オレ自身「もう飽きた・・」と退屈に感じてしまった。恐らく今後もこの手のギターレスの曲が増えるのであろうが、サウンド的にはどうしても単調である点は否めない。この辺は彼らの今後の課題といえる。
そんなこんなでようやく長い長い2曲が終わってカシオマンがギターを手にしてからはおなじみ「COLD BEAT」。松下敦のドラムの凄さが際立つ。そしてそのまま「FRIDAY NIGHT」へ。この流れももうすっかりおなじみだ。この曲で本編は終了。
アンコールは「開戦前夜」。途中でなんかの洋楽のカバーをはさんでから終了。そしてラストは「KIMOCHI」。前奏と最後のドラムの連打がやばすぎて、バラードなんだけども全然しっとりとはしない轟音の中で終了。圧巻のラストだった。
この日の向井のMCによると3月から渡米してアルバム作りを始めるそうだ。
いやー期待通りの力強さだった。やっぱドラムだよ、ドラム。
もう最近ザゼンのライブに行くと6割は松下敦のドラミングを観ている。向井の方をあんま観なくなったな。
それだけ彼のドラムは凄まじく、一言でいうならば「予測不可能かつ正確無比」ということなのではないかと思う(一言じゃないか・・)。スリルがあるんだがかつ安定しているんだよな~。あんだけ上体をゆらしているんだけど正確なのはなぜだろう?ホント松下敦はカッコよいドラマーだ。
あと昨年加入した新ベーシスト吉田イチローも演奏しながらかなり激しいアクションをするようになってきて、すっかりバンドに溶け込んでいる気がした。カシオマンよりも顔は表情に富んでてアクションはでかいね。
一つ言わせてもらうと「I DON'T WANA BE WITH YOU」「CITY DREAMING」のようなギターなしの曲はもっと盛り上がるような工夫が欲しいところだ。明らかに客のノリも悪かった。シングルにするという時点でこれがザゼンの新たな代表曲なのだろうが、どうにもこうにも単調なのだ。
ちなみに会場で売っていた新しいTシャツの1つに、「DRUM」と一語のみ大きくプリントされているものがあった。このTシャツのデザインを見てもいかに現在のザゼンの中でドラムが中心にあるかが分かると思う。
松下氏にはその力強いビートを今後も叩き続けて欲しい所存である。
そしてこれから製作が始まる彼らの新作へ更なる期待をして、今年一発目のライブレポを終了とさせていただく。
2008年1月13日日曜日
池袋にて結婚式2次会。
「多賀野」で中華そば食う。
池上線の荏原中延駅にうまい中華そば(ラーメンではない)屋があるということで行ってきた。
「多賀野」である。駅前にあるのですぐ分かった。
11時45分に店に着いたがすでに長蛇の列。
店からはかつおダシのよい香りが流れてきた。
席につくと厨房の様子がじっくり観察可能。
かつおダシと思っていたがどうやら煮干も足している様子。
豚骨からとったと思われるにごったスープと、魚介の澄んだスープを混ぜ合わせてダブルスープを作っている過程が目で確認できた。
結局100分近く待ってようやく中華そばにありつけた。
←中華そばにトッピングA(チャーシュー4枚、メンマ増量、のり2枚、煮玉子)
たしかに美味い。麺もメンマもチャーシューも美味い。
でもちょっと塩辛いのが欠点だったな。
あとは待ち時間が長すぎて寒さに疲れてしまった。
丁寧に作っているのはわかったんだが、あの人気で事前に食券を承っているにしては、あまりオペレーションが良くないかなと思ったな。
機会があれば今度はつけ麺にチャレンジしたい。
2008年1月9日水曜日
村上春樹「意味がなければスイングはない」
村上春樹が好きなミュージシャンについて語った解説本。
ジャンルはクラシックからジャズ、ロックまでバラエティに富んでいる。
唯一の日本のアーティストで取り上げられてるのはスガシカオだった。
村上春樹にいわせれば日本の音楽のほとんどが「リズムのある歌謡曲にすぎない」のだそうだ。
オレは「歌謡曲のなにが悪いんだよ!!」と思ったがな。
最近村上春樹の本のよさというか面白さがようやくわかってきた気がする。
文章が滑らかというかとてもキレイだ。
どこをどうとってもそこには必ず「村上春樹」という人物が介在しているような個性や香りのようなものがある。ちょっとナルシスティックで「海外生活も豊富でいろんな音楽を聴いているんだよ」という鼻につく主張が感じられるけどそれも慣れれば心地よい。
彼の本っていきなり創作の小説を読むよりもまずはこういうエッセイ的なものを読んだほうがいいと思う。
ちなみに一番面白かったのはスタン・ゲッツについての章だった。
スタン・ゲッツのほとんと全ての演奏が麻薬をやりながらのものなんだそうだ。
アーティストとドラッグの切っても切れない関係が少なからずわかるような気がした。
「あしたの私のつくり方」観賞。
2007年日本映画
市川準監督作品
成海璃子以外の大根役者達が終始壮絶な大根演技合戦を繰り広げる作品だった・・。
が物語はしっかりしてたので、ラストでは心地よく感動。
「明日からも自分らしく生きていこう!」
なんて爽やかな後味に包まれたのだった。
いやホント、最初はどうなることかと思ったよ。
石原良純も田口トモロヲも出てくる役者がそろいにそろって演技がヘタすぎ。
石原良純はもう俳優じゃなくてタレントのイメージが定着しているだけに、こういったシリアスなドラマに出るのは禁止して欲しい。甲高い声だして逆ギレしてるだけなんだよな~。
成海璃子ともう一人のヒロインであるAKB48(アキバフォーティーエイト)の前田敦子はアイドルの特権であるヘタウマ演技でまあ許せるが、この子の彼氏役を演じた俳優(名前も知らん・・)の演技はもうやばかった。学芸会レベルといっても過言ではなかった・・。こんなにヘタな演技久々に観たよ。ある意味おもしろかったくらいだ。多分観ながら「・・演技ヘタだなあ・・」なんて声に出していたと思う。でもいい役だったね。
何度もいうが物語はとってもしっかりしていて意外に深いので観ていて共感できる。
「誰もが家族や職場、学校などで、どこかで自分に無理をして『周りが望む役』を演じている」というテーマは実にリアルで、現代人なら誰でも共感できる事だろう。「そういった葛藤やストレスも含めて自分らしさなんだよ」というラストの回答は素晴らしく、爽やかな感動を覚えた。
それにしても成海璃子の存在感はすばらしい。
この作品は周りの役者の演技がヒドイだけに終盤にいくにつれて、彼女のオーラがどんどん輝きを増していくのが分かった。
今後の活躍に期待したい女優だ。
(生涯614本目の作品)
2008年1月8日火曜日
the ARROWS 「GUIDANCE FOR LOVERS」
昨年12月にリリースされたアロウズの新作。
坂井竜二の歌詞がすばらしい。
「月光の街」という曲があるのだがこの1曲だけでも十分聴く価値のあるアルバムだ。
この「月光の街」実に泣ける曲なのだ。
サビでは「親に最近電話をしたか 風邪をひいて仕事とかどうすんだ・・」などなど坂井竜二の極めて個人的な心の悩みや不安を誰にでも分かるような具体的な言葉で洗いざらいぶちまけ、そして最終的には「君にね 君にね あいたいんだ~」と愛を求めて叫び続けるという、なんとも分かりやすくかつ切ない曲である。
CDで聴くたびに胸にこみあげてくるものを感じるのだが、ライブだとなおさらヤバく、目頭が熱くなり、周りで涙する女性ファンも少なくない。
ここまで露骨にアーティスト自身の個人的な悩みや葛藤をリアルに吐き出した曲を私はいまだかつて聴いたことがないように思える。
もちろんそのほかの曲も捨て曲なし。
アロウズは「踊れて楽しい」だけではなく「せつなく情けなく悲しい」という側面も持ったバンドであることを証明したアルバムといえる。
オススメです!
2008年1月7日月曜日
「パラダイス・ナウ」観賞。
ハニ・アブ・アサド監督
2005年 フランス/ドイツ/オランダ/パレスチナ映画
イスラエル占領下の町ナブルスを舞台に、自爆攻撃に向かう二人のパレスチナ人青年を描いた問題作。
イマイチだった・・。
観始めてからあっという間に終わってしまった。
正直「もう終わりかよ!」と思ってしまった。
イスラム教徒の青年2人が失敗を繰り返しながらも自爆テロへと走るその姿が描かれているのだが、
物語のテンポが速いうえに作品全体が90分くらいしかないのでイマイチドラマに深みがなく軽すぎる気がした。もうちっと時間をかけて各登場人物の葛藤や悲しみを深く描いてほしかったな。
題材は重くシビアなだけにもったいない。
あとこういう紛争ものは侵略される側のみを一方的に描いていてもどうにもこうにも内容の浅いものになってしまうと思う。侵略する側、される側の双方を描くとより重厚なものになるのではなんて思ったりした。
「シリアナ」みたいにね。
(生涯613本目の作品)
以上。
2008年1月5日土曜日
「舞妓Haaaan!!!」観賞。
水田伸生監督
2007年日本映画
阿部サダヲはよくがんばった。
柴崎コウの舞妓姿はたしかに息をのむほど美しい。
物語は支離滅裂だが勢いはすごい。
つまらなくはない。
たしかに面白かったけど・・
舞妓を題材にする必要があるのか・・。
京都の人はこの作品をどう受け止めているんだろうか・・。
昨年5月に初めて生まれて初めて京都に行ったけど想像以上に素晴らしい場所で、街全体から格式とプライドを感じた。
その格式高い京都を題材に、ここまでメチャクチャな映画を撮ってしまっていいのだろうかと違和感が残った。
中盤からはもうなんでもありの世界であり全く持って京都である必要性を感じない。
話題作りのために無理やり舞妓を題材にしてあとはクドカンのやりたい放題といった感じだ。
それでも全編勢いがあって退屈しないのでヒマつぶしにはなる作品だ。
が、しかし、手放しで「最高!」とはいいがたい、なんとも違和感の残る作品なのであった。
(生涯612本目の作品)
2008年1月4日金曜日
「神童」観賞。
2007年日本映画
萩生田宏治監督作品
面白かった。
見所はピアノの演奏シーンと成海璃子の孤高といってもいいくらい素晴らしい存在感。
そしてそれをうけとめる松山ケンイチの自然な演技である。
物語とかドラマはどうでもよくなってしまうほど成海璃子のまっすぐで強いまなざしが素晴らしい。
これだけでも一見の価値ある作品だ。
そして売れっこ俳優の松山ケンイチ。とっても自然な演技で売れるのも納得。関係ないけど藤井隆とスピッツ草野マサムネに似ているなあなんて思ったりした。
あと甲本ヒロトの弟の甲本雅裕
最近地味に売れている。いい役者になってきたなあなんて思った。
というわけで主演俳優の素晴らしい演技が堪能できる素晴らしい作品である。
オススメです。
(生涯611本目の作品)
2008年1月3日木曜日
「絶対の愛」観賞。
キム・ギドク監督
2006年 韓国映画
今年1発目に観たのがキム・ギドク監督「絶対の愛」だ。
キム・ギドク作品にはずれなし!
あいかわらずの「狂った愛」が暴走しまくりラストまで目が離せない。
つきあって2年になるカップルのジウとセヒ。いつしかセヒは病的な嫉妬をジウに抱くようになり、「顔を変えればジウに飽きられなくなるのでは」と考え整形手術を受け姿を消してしまう。
6ヵ月後にジウの前にスェヒと名乗る美女が現れるのだが・・。
冒頭からセヒが喫茶店で暴れだす場面で「この女性もうヤバいじゃん・・」と圧倒されてしまった。
ギドク監督作品につきものの「狂った愛」が全開だ。
韓国って実は「整形大国」らしい。この作品みたいなことも実際起きてもおかしくないななんて思った。
ラストは救いようがなく後味も悪いのだが、見ている間はハラハラドキドキの連続で目が離せない。何度も何度も主人公達が大暴れしてケンカをしている喫茶店が出入り禁止にならないのがおかしいなど細かいツッコミどころは満載だが、巧い作品であることは間違いない。
ヘタなハリウッドサスペンスよりも面白いと思う。
(生涯610本目の作品)
日露戦争突入。
2008年1月2日水曜日
村上春樹「東京奇譚集」
吉田修一「悪人」
昨年の人気作品である吉田修一「悪人」。
ほぼ1日で読み終えた。
「悪人」というタイトルだが「日本人」でもいいじゃないかなんて思ったりした。
出会い系サイト、メル友、夢を持てない仕事、無趣味、孤独感、虚無感などなど、現代の日本人の「こころの隙間」をとりまいている諸問題をリアルに描いている力作だと思う。
舞台は北九州であり地方都市の閉塞感が登場人物達の心の闇をよりいっそう深いものにしているのであるが、舞台が東京でも十分通用する物語だと思った。
ある意味こころの「反面教師」として今後何度も読み返したい作品だ。
「こんなのドラマチックな恋愛でもなんでもない、ただの愚か者達による愚かな行為にすぎないのだ!」といわんばかりの衝撃的なラストがまたリアルでよかった。
やっぱ自分は大切にしなきゃいかんなと思った正月だった。
2008年1月1日火曜日
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