2012年10月18日木曜日

桐野夏生「メタボラ」

面白かった。
桐野夏生はどれもハズレがない。
これまで読んできた作品はどれも女性が主人公のものばかりだったが
この作品は男性が主人公である。
女性が主人公の作品は嫉妬や憎しみといった、どれも人間のネガティブでドロドロとした心の内面が作品中にプンプン漂っていてそこが魅力でもあった。
今作は男性が主人公なので前半はそこまでドロドロしていなく、割と読みやすく感じた。が後半から主人公の記憶が戻っていくにつれて、桐野作品らしいディープでダークな「闇」の部分が目立っていく。こうなるともう面白い。
柏崎の工場勤務の部分はすごいなあと思った。こうやって搾取されていく若者を実にリアルに描いているのはすごい。

というわけで、期待通りの面白さだった。
桐野夏生、昨年から読みだしてすっかりフェイバリットな作家になった。
他も読んでみよう。

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