市川崑 監督
1961年 日本映画
先日亡くなった市川崑監督へ追悼の意味もこめて観賞。
舞台は60年代のTV局。プロデューサーの風松吉(船越英二)は妻以外に9人の愛人を持つ。仕事に追われることを生きがいとし、深い愛情は持たずに9人もの愛人を持つ彼に対し、妻も含めた10人の女達が共謀し、風を殺すことを企てるが・・。
学生のとき以来の観賞だったがやはり面白い!!この頃の女優ってみな芯が強そうでいい。目が輝いている。
女性達を悩ませるプロデューサー風を演じる船越英二のつかみどころのない空気みたいにフワフワした演技も実に見事。
10人の女性達の中では、個人的には若かりし日の中村玉緒が一番可愛かったな。
テンポのよいサスペンスコメディと思いきや、意外と深い。
終盤、岸恵子が船越英二の前で延々と語るセリフがこの作品のテーマを見事に表現している。
そこには仕事に追われることにアイデンティティを見出す男と、異性からの愛にアイデンティティを見出す女との永遠に噛み合う事のない現実が簡潔に語られているのだ。
「結局男と女って、同じ日本語でしゃべっていても何も分かってないのよ。」
という趣旨のセリフだったと思うがこれは現代でも勿論通用するのは間違いない。
エネルギッシュな役者よし、スタイリッシュなモノクロの映像よし、意外と深い物語よし、と3拍子そろっているオススメの作品である。
市川崑 監督への追悼も兼ねて是非この機会に観ていただきたい作品だ。
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