2010年10月4日月曜日

オレとミッシェルガンエレファント 2001年。


もう誰も覚えてないと思うけど、いちよー連載なので
2か月ぶりにミッシェルとの思い出を書きます。


2001年。
オレは大学を卒業し社会人1年目になった。
大きく人生が変わった年だった。

ミッシェルさんたちはというと2000年末の解散疑惑を通り抜けて
、2001年3月にはシングルをリリース。
タイトルは「暴かれた世界」。
おお、久々に日本語タイトル。
「パーティーは終わりにしたんだ」って決めの歌詞がなんだが不穏かつ冷徹な印象を残す曲だった。

そしてそして5月にはアルバムがリリースされた。
タイトルは「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」。
直訳すると「荒馬 二人のり ビートの亡霊」である。

亡霊という言葉がしめすとおり、この作品にはヒリヒリとした冷めた狂気のようなものが漂っていた。
間違いなくこれまでのミッシェルの作品には感じられなかった雰囲気である。
とくに前作「カサノバスネイク」にあったようなハッピーな雰囲気はゼロといっていい。

そしてこのころのチバユウスケは明らかに何かに病んでいるかのような、それこそ亡霊にとりつかれたような異様な雰囲気を醸し出していたと思う。
写真はロッキンオンジャパン2001年6月号のチバ。
眉毛をそり、どこか虚構を見つめるかのようなうつろな表情はまさに「ビートの亡霊」のよう。
この写真が当時のミッシェルというバンドの雰囲気を表していると思うよ。

そしてワタシの社会人生もまた、いろいろと大学時代とは違って(当たり前だが)、思うようにはいかないことの連続だったように思う。
当時このアルバムを買って聴いたときに、「ああ、社会人になるとなぜかミッシェルも変わるんだな」と不思議に納得したのを覚えている。

そしてそしてずっとミッシェルのライブ未体験だったオレが初めて彼らのライブに行ったのがこの「ロデオ・タンデム・ビートスペクター・ツアー」であった。

ツアー2日目の赤坂ブリッツに当日券が出るという情報を知って、昼前に会場へ行った。
すでに当日券目当ての客が何人も並んでいたが、なんとかチケットをゲット。
初のミッシェルにドキドキしながら開演を待った。

ライブはというと、やはり眉毛をそったチバが冷気にもにたオーラを漂わせていた。
そして大好きなアベも目の前に現れた。細い!!!感動!!!
しかし、目の前で繰り広げられた演奏はオレがテレビやビデオで何度もみてきた「過去のミッシェル」とは明らかに違うものだった。
1曲目はアルバム未収録で、当時まだ歌がついていなかった「サンダーバードヒルズ」。
ジャズを彷彿とさせるドラムとベースライン。
「ハローベイビー、お前の未来を愛してる」と叫ぶチバ。
その叫びからは、愛というよりは、ここまで大きくなったミッシェルというバンドが背負ってしまった悲しみや憎しみのようなものを感じさせた。
もう昔の「あとはトぶだけ」のミッシェルはそこにはいなかった。
「パーティーは終わった」のだった。
「時代が変わった」のだ。
そうオレは痛感した。
そうはいってもライブはライブで汗だくになってそれなりに楽しかったけどね。

このツアー中に9.11が起きる。
このころになると「サンダーバードヒルズ」に歌詞がつくようになった。
この曲に「ビルディングはすべて真っ平」という歌詞を書いたチバは、
9.11がまさにその歌詞のような映像だったので、
大変ショックを受けたという話を聞いたことがある。

そしてツアーファイナルは11月17日に幕張メッセで行われた。
オープニングの4曲が終わった後にチバは観客に向かってこう言った。

「よく来たね。 ほんとによく来た。」

ここまで暗くて狂気を感じる「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」というアルバムのツアーに
よく来てくれたよと言っているように感じた。

このファイナルのアンコールは「世界の終わり」だった。
印象的な場面がある。
「世界の終わり」はラストで長い長いアウトロが続く曲だが、ドラムとベースとギターが演奏をやめたそのあと、チバだけが「まだ終わんねえんだよ」とでもいうかのように、ひざまずいてグレッチをストロークし続けるのである。
この時のチバの目がやはりビートの亡霊(しつこいけど)にとりつかれたかのような表情だった。
このあと再び3人が演奏を初めて再度しめなおす形で曲は終わった。

こうしてヒリヒリと冷めた「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」ツアーが終わった。

「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」については、
暗いとか冷たいとかさんざん悪いイメージの言葉で表現したが、
個人的にはこのアルバムはかなり好きである。

今だから思うが、
98年頃にあれだけ活躍していた沢山のギターロックバンドが、
2000年頃から次々に解散、または失速していき、
いわゆるロックンロールというジャンルの力が確実に弱まっていく中で
ミッシェルさんたちが全く編成を変えずに2001年になってもロックを鳴らし続けるということは
それなりにしんどくて覚悟のいることだったのではと思う。

年があけて2002年。
前半、彼らは目立った活動をしなくなる。
今思うともうこのときに終わりというか、解散が近かったんだなあと思う。

2002年につづく!!!

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