2012年9月18日火曜日
「夢売るふたり」鑑賞
西川美和監督
2012年日本映画
昨日渋谷で鑑賞。
見応え十分の作品であった。
想像以上にかなりブラックな映画だった。
役者全員が素晴らしい演技。
中でもすごいのは里子を演じた松たか子である。
この作品で終始阿部サダヲが演じる夫よりもタフで、たくましく、
また逆境から這い上がるために、金のために、結婚サギを企てて、夫を操っていくのであるが、次第に狂気に近い嫉妬をその心の奥に抱くようになっていく。感情的に騒ぐシーンは極めて少なく、常にじっと黙ったままであるが、その表情のみによる演出が余計に彼女の心の闇を感じさせる。
ストーリーはかなりブラックでヘヴィではあるが、要所要所に笑える演出がちりばめられておりそのセンスが絶妙なのでそこまでしんどくはない。
この辺の演出力はさすがである。
結局のところこの夫婦のとった行動は「悪行」以外のなにものでもなく、
夫はあっけなく法に裁かれるが、妻は逃亡し、タフに生き延びる。
この勧善懲悪とはいえないエンディングも素晴らしい。
唯一わからないままだったのは里子が病気か妊娠をにおわせる場面。結局のところなんだったのかは明らかにされないままであったが、この作品はそれがいいのかもしれない。こんだけ悪いことしておいて、途中で子供ができたり、大病を患ったりして、中途半端に観客の同情を煽ることは不要だと思う。
あと、安藤玉恵は相変わらず幸薄い役が似合うね。
というわけで見応え十分のドラマであった。
また観たい。
(生涯741本目の作品)
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