2008年8月25日月曜日

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」鑑賞。


2007年アメリカ映画
ポール・トーマス・アンダーソン監督

ダニエル・デイ・ルイスがアカデミー主演男優賞をとった作品で、
ポール・トーマス・アンダーソンもけっこう好きな監督ということで、
観てないけど思い切ってDVDを購入。

購入する価値は十分ある力作だった。
ただ、「石油王となった男の破滅を描く」といろんなところに書いてあるわりには「破滅」の描写がイマイチ弱かったかなと思う。
この辺は人間に最終的には基本的にやさしいポール・トーマス・アンダーソンの特徴が出ていたのではと思う。

ダニエル・デイ・ルイスの演技は素晴らしかった。
欲望に身をまかせる怪物のような男なのだが、どことなく滑稽で愛嬌がある。
救いようのない悪魔ってわけでは決してないように感じるのだ。
これもまた監督の味が自然とでているんだろう。

ダイナミックで欲望をそのまま映像化したかのようなドロドロの油田の描写も見事としかいいようがない。
特にガス事故により炎につつまれる場面は本当にすごい。
アクション映画を全く観ない私としては、ここまで印象的で美しい炎の場面は久々に観た。

物語的にはラストがイマイチだったけど見ごたえは十分。
全編を貫く緊張感溢れる映像と計算された音楽はまるでキューブリック監督の作品のようだった。
とくにラストでなめるように映るダニエルの豪邸なんて、いかにもキューブリック映画のようだった。

ポール・トーマス・アンダーソン監督はこれまでの作品にあった自分独自の味はしっかりと保ちつつ、いままで撮ったことのない題材や時代背景をダイナミックに映像化することに成功している。
次回作も楽しみだ。

以上!期待通りの力作であった。
(生涯640本目の作品)

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