2012年4月26日木曜日

馳星周「煉獄の使徒」

ようやく読み終えた。
内容については後半の展開がかったるかったり、また、オウム真理教をモデルにしているが、登場人物のダレもが実際のオウム幹部よりも魅力にかけたり(とくにグル)、色々と物足りなさを感じてしまうのだが、それでもこの小説の存在意義はかなり大きいと思う。
それは
「一連のオウム事件はすべてオウムの単独犯である」という日本人の多くが刷り込まれた警察や検察、マスコミの論調に対して、
「オウムの背後には警察や大物政治家、暴力団などがオウムを資金源としてかかわっていた」という説を大前提に物語が進んでいく点である。
この点については一部マスコミや本には書かれているものの、一般的にはタブーとされている。
この点にメスを切り込んでフィクションという形とはいえ、「結局この事件ってこうだったんじゃねえか?」と真正面から提示した著者の姿勢と勇気は称賛に値することは間違いない。
しかし肝心の宗教団体の描き方が軽薄なんだよなあ。残念。

以上。

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