ソカバン、変わった。
すごかった・・・。
昨年までの彼らは「キラキラ」な演奏をしていたが、この日は緊張感のある「キワキワ」の演奏をしていた。
ワタシがソカバンのライブを最期に観たのは1年以上前の昨年2月である。
そのときから比較すると格段にストイックになっており、
ライブ中の緊張感と集中力はハンパなかった。
ライブが始まり、メンバーが暗闇の中登場。
まず、驚いたのが曽我部氏の痩せようである。
昨年までとはまるで別人のよう。いや、この左の写真(つまりは新作のジャケット写真)よりもかなりやせているのだ
まるで若いときの柳葉か、現在の香川照之みたい。
この外見の変貌ぶりに驚いた。
そして1曲目は新作のオープニングナンバー「ソングフォーシェルター」。
上野氏のブルージーでメロディアスなギターがイントロでキラメキまくる。曽我部さんはまるでポエトリーディングのように、語るように、歌を歌う。明らかにこれまでのソカバンにはなかった繊細な曲。
2曲目は「兵士の歌」。これもアルバムだと正直ただのブルースちっくな唄という印象しかなかったのだが、ライブだとものすごい緊張感。とくに曽我部氏の歌声がすごい。
この2曲の時点で、彼らが新作の世界を並みならぬ集中力と緊張感で演奏しているその情熱がヒシヒシと伝わってきた。
「これは明らかに昨年までのソカバンのライブとは違う・・・」会場のオーディエンスもそう感じているようで、息をひそめながら演奏を見守り、曲が終わると、その熱量に素直に感動して拍手をおくっていた。
つづいて「恋をするなら」。かなり軽快な曲だがライブだとやはり緊張感がすごい。中盤ではオータコージのハンパなく長い長いドラムソロが炸裂。さらにそれをドラム缶(死角で見えなかったので不確か)かなんかをガンガン叩いて煽る曽我部。どちらも本気すぎて、そこに熱量はあっても笑いはないのだ。これはメンバーも相当気合入ってるなと感じる一瞬だった。
この日は新作からは全曲やり、その間に過去の曲が挟まれるという内容だった。
圧巻だったのは割と早めに披露された「ロックンロール」。
BPMがCDの1.5倍ほど早く演奏されたこのディスコロックでフロアは熱狂の渦と化した。熱唱する曽我部。ちなみにこの曲の歌詞はアルバムの歌詞カードにはのっていない。あくまでサウンド重視なのだ。
そしてそして曲のラストで狂ったような長い長いギターソロを響かせた上野氏。オータコージ同様、気合と集中力がこれまでのライブとは違う。いや、これまでも素晴らしかったけど、さらにすごいのだ。
「かっけー・・・」
そう思うしかなった。
新作の曲の世界と過去の曲の世界に違いがあるので、当然ライブの流れはいいとはいえなかったが、そんなことどうでもよくなるくらいに全体にただよう緊張感と気迫がすごかった。
「キラキラ!」にしたって明らかに昨年までの楽しさは薄れ、逆にストイックさが増したと思う。イントロの「キラキラって曲やりまあああす!!!」というお決まりのMCがなくなったのがその1つのあらわれである。
いや、「キラキラ」にかかわらず、この日はムダなMCは全くなかった。
ひたすら曲、曲、曲である。
まるで修行僧のごとき集中力。
そして新作の曲はライブで聴くと、言葉が実に強く耳に伝わってくる。
曽我部氏がいかに今回の作品で言葉に魂をのせているかがわかった。
「月夜のメロディ」の「だれもがだれかになろうとしてだれにもなれず」という歌詞に目頭が熱くなった。
「ポエジー」では「さよなら、ぼくたちのでっかい狂気よ」という叫びが胸に響いた。
もちろん演奏だってすごい。全編激しいリバーヴ、エコー、ディストーションがすきまなく鳴り続く「胸いっぱいの愛」は、CDで聴いたとき「これ、どうライブで再現するんだ?」と思ったが、ライブはCDを超える熱量だった。
こうして、ライブは終盤を迎えて新作の曲もほぼ尽きたあたりでまさかの「恋人たちのロック」→「STARS」というロックンロールキラーチューン2連続。
そして「満員電車は走る」を全速力で演奏し、燃え尽きたかのようにライブは終了。
「アンコール、もうやる曲なくねえか・・・」と思いつつも手をたたいて再登場を待つ。
しばらくして曽我部氏と上野氏がギターを抱えて登場。
最終的にフロアに降り立って、2人でマイクナシ、アンプなしで生歌、生音で「MELLOW MIND」を披露。ここでも繊細に情熱的に歌う曽我部氏の姿は神々しくさえもあり、しつこいようだが昨年までとは別人のような雰囲気であった。
その姿を見守るフロアの客達の表情のなんといいことか。あるものは涙を流し、あるものはうっとりと笑顔をうかべなから、それぞれが曽我部氏に見とれていたのだ。
この1曲でライブは終了。
舞台に4人がそろってあいさつをして、素晴らしすぎるライブは終了した。
いやー、ソカバン、進化というか成長というか、そういう言葉では表現できない変貌ぶりであった。
聖者のようであった。
この変貌はおそらく曽我部氏が「これまでのキラキラしたソカバンを続けているだけじゃダメなんだ」と決意して、ストイックに音楽を追及した結果なのではなかろうか。そしてメンバーもそれに必死についてきたのだと思う。
明るくキラキラなライブをやるバンドから、緊張感のあるキワキワのライブをやるバンドへと変化を遂げた曽我部恵一BAND。
今後のライブも要チェックである。
以上、7月、素晴らしき幕開けであった!!!
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