2007年11月10日土曜日

「ゾディアック」鑑賞。


2006年 アメリカ映画
デヴィット・フィンチャー監督

まあまあ面白かった。
アメリカを恐怖に陥れた連続殺人鬼によるゾディアック事件を映画化。
史実に忠実に基づいているのでトリッキーな展開や衝撃的な映像は少ない。物語は事件をおって淡々と進む。

デヴィット・フィンチャー監督の暗くてシャープな映像は未解決なゾディアック事件の不穏な雰囲気を引きたてており効果的である。
映像は繊細なのに、脚本とセリフは雑で物語の展開もかなり乱暴なのがフィンチャー監督の特徴であり弱点でもある。観ていて途中分かりにくい場面がちょこちょこあった。
結局この監督は人間を描くのがヘタなんだと思う。今作はそういった弱点を俳優達の演技力に助けられた感じがする。ジェイク・ギレンホールもマーク・ラファロもロバート・ダウニー・jrも決して繊細とは言いがたいセリフを言わされながらも見事な演技で作品をよりよいものにしていたと思う。
物語の終盤にはいって警察が機能しなくなりジェイク・ギレンホールが単身事件の解明にハマリだしてからはセリフだけで物語が進むような感じになる。この辺りはのんびり見ているとおいてけぼりを食らうだろう。
ラストも大きな仕掛けはとくにない。なんともいえない嫌な後味を残して物語は終わるがこの不穏さがいいのだと思う。

というわけで「ゾディアック」は雑な脚本と乱暴な物語展開をセンス溢れる映像と役者の素晴らしい演技でなんとかのりきったそこそこの作品である。
フィンチャー監督はがんばっても結局このくらいのレベルなのだなあと痛感。
映像のみならずもっと落ち着いて人間を描いてほしいところである。

(生涯603本目の作品)

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