2008年7月28日月曜日
「グッド・シェパード」鑑賞。
2007年アメリカ映画
ロバート・デニーロ監督
今年になって観たアメリカ映画の中では最も面白かったかも。
第2次大戦から冷戦、キューバ危機の中でCIAとして働く一人の男の苦悩を描いた大作。
監督はデニーロ。
物語の展開には細かいつっこみどころはけっこうある。
息子の人間描写がイマイチだったり、妻役のアンジェリーナ・ジョリーがどうみても浮いてたり。
でもそんなことどうでもよくなるくらい、すごいんですよ、主役のマット・デイモンの演技が。劇中に「雄弁な沈黙」という言葉がでてくるが、彼の演技は「雄弁な沈黙」そのものだ。
いまのハリウッド俳優で「内に秘めた苦悩」を演じさせたら彼の右に出るものはいないのではと思う。
ジョン・タトゥーロを初めてとして脇を固める男達も敵味方関係なく渋くて重厚で良い味だしてる。
そもそもCIAを中心に描いたこの作品には「信頼できる味方」など誰も登場しないのだからすごい。
作中の男達はみな己自身の精神をすり減らすかのようなスパイ活動に疲れ、あきらめにも似た退廃的なムードを背中で演じている。見事だ。
映像も実に重厚で美しく、それでいて暗すぎず観やすい。
やたらと過去になったり現在に戻ったりする編集は受け付けない人がいるかもしれないが、観ていてそんな気にはならなかった。
久々に胸にドーンと来る、見応え十分の映画を観た気がした。
というわけでマット・デイモンの実力がいかんなく発揮された傑作だ。
オススメである。
でも観終わったときの疲労感もすごいので要注意。
ちなみに私は夜寝る前に観て、そのまま悪夢にうなされました。
以上!
(生涯635本目の作品)
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