2007年10月10日水曜日

読書の秋。


ずっと読んでいた司馬遼太郎「夏草の賦」は先週下巻を読み終えた。

四国統一をめざし、後には全国統一までもを夢みていた長祖曽我部元親は、豊臣秀吉の圧倒的な力の前になすすべもなく降伏し結局土佐一国の主で終わってしまう。後半は長年の夢にあっけなく挫折し、それでも生きていくしかない元親の哀愁漂う姿が実に悲しい。
しかしそれだけでなく、信長や秀吉などの登場人物達が己の権力を拡大するために頭脳と交渉力を駆使してのし上がっていく、または敗れていくその様は実に面白くて魅力的であり読み応え十分だ。

最近思うのは読書というのは最も「費用対効果(コストに対してどれだけの効果があるか)」の高いエンターテイメントではないかということだ。
文庫本ならせいぜい500円か600円くらいで実に多くのことを学ぶことができる。しかも読書は場所を選ばない。しかも音楽や映画と違って本は己の脳をつかって「読む」という主体的な行動をしなければならない。これは言い換えればそれなりの労力を伴うことではあるが、間違いなく「自分から考える」という行為であり、この訓練をしている人としていない人では感性どころか物事の考え方や頭の回転にも大きなレベルの差がでてくるのではといまさらながら思う。

というわけで続いては明治時代が舞台の「坂の上の雲」に突入だ。
とはいってもこの小説は8巻まであるので読み終えるのは相当な時間がかかるだろう。
しかも現在私は森見登美彦の「有頂天家族」も読んでいるので全8巻を今年中に読み終えるかどうかも分からないのであった。

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