2007年10月21日日曜日

「恋愛睡眠のすすめ」鑑賞。


2005年 フランス映画
ミシェル・ゴンドリー監督

「エターナル・サンシャイン」で一躍脚光を浴びたミシェル・ゴンドリーの最新作である。
主演は人気上昇中のメキシコのガエル・ガルシア・ベルナルと、フランスの大御所セルジュ・ゲンズブールの娘のシャルロット・ゲンズブール。
このクールな配役だけでも「エターナル・サンシャイン」が好きな人は期待せずにはいられないだろう。

が、結論からいえば、「エターナル・サンシャイン」にはかなり劣るものだった。

主人公のステファンは母親が住むパリに新たな仕事をしに久々に帰って来る。帰ってきて早々隣人のステファニーに恋をするが、彼女は「いまは恋人はいらない」と素っ気無く、ステファンの思い通りにはならない。ステファンは現実とは別に夢の中でも自ら思い通りの恋愛を進めていくが・・。

つい先日DVDがリリースされ、話題作だけにタワレコなどでは店頭でかなり目立つように陳列されていおり、個人的に購入しようかかなり迷っていたのだが、結局レンタルで観た。
そして観終わったあと、「買わなくてよかった・・」と思ったよ。

ゴンドリー監督の持ち味であるファンタジックな妄想場面は前作以上にメルヘンチック。クラフトやビニールなどのやわらかな素材を駆使したその妄想世界は「エターナル~」よりもあたたかみがあってキュートであり現実を忘れるには良い作品だと思う。監督の力は存分に発揮されてはいるがややマスターベーションに終わってしまっている気がする。妄想場面に対して現実の物語がついていってないのだ。

「エターナル~」はヒーローとヒロインの双方の感情がしっかりと描かれており、かつ物語もスリルがあった。そしてラストには見事なカタルシスがあった。
しかし、この作品は、終始ステファンが思い通りにならない片想いに悪戦苦闘して、辛くなるとすぐ眠って現実逃避するというただそれだけが描かれており、観ていて物語にまったく盛り上がりを感じなかった。ヒロイン、ステファニーの感情描写が雑なのである。

映像に凝って、物語や人物描写がおろそかになるという監督は多い。
「エターナル~」がそうでなかっただけに「恋愛睡眠のすすめ」は残念な出来としかいいようがない。

ゴンドリー監督の次回作に期待したい。
(生涯602本目の作品)

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