2010年7月20日火曜日

オレとミッシェルガンエレファント。 1999年


99年1月17日の横浜アリーナで「ワールドサイコブルーズツアー」が終わった。
横浜アリーナで初のオールスタンディングをやったバンド。
しかし、そんなことはまるでなんでもなかったかのように
彼らは4月からまたツアーに出る。
「ワールドギヤブルーズツアー」である。
再びライブハウスをメインとしたもので、
その本数はなんとチキンゾンビーズツアーをも凌ぐ62本!
男ですねえ。男ですよ。
チキンのときもけっこうきつかったらしいのに、
あえてそれを超える本数をもってくるあたり。カッコええじゃないか。
横浜アリーナをソールドアウトにしたって、
そんなことにはこれっぽっちも甘んじずにひたすらライブをやり続けるんだ。

このツアーの最中である5月1日に、1月の横浜アリーナライブがビデオ化されて発売された。
オレは勿論それを購入。
あまりに「ギヤブルーズ」の世界がホールクラスの会場にぴったりなんで
正直ライブハウスで奏でられる「ギヤブルーズツアー」がどんなものになるのか想像できなかった。
しかしそんな心配は無用であった。

彼らは「ワールドギヤブルーズツアー」で、
これまでよりもさらにドス黒いエネルギーを増し、
完全にロックにとりつかれた「悪魔」となっていた。
なんといってもまずメンバー1人1人の風貌がショッキングに変化していたのだ。
チバはオールバックに白スーツ
アベは金髪に青スーツ
キュウはモヒカン
ウエノはあんまし変わってなかったが。
雑誌などでその姿を見たとき
「なんだ、見かけだけじゃん」とは思わなかった。
その風貌が皆似合いすぎでなんともヤバそうなオーラが出ていたのだ。
「これは相当な覚悟でやってんだなあ」
ライブに行かなくてもそういう様子はヒシヒシと伝わってきた。

横浜アリーナなんて彼らにとっては通過点でしかなかったんだ。
もっともっと「ギヤブルーズ」の世界を探求していってんだ。
それもライブハウスオンリーで62本。
まさに「ドッグウェイ」だ。

ツアーファイナルは8月6日の赤坂BLITZだった。
このときの模様はWOWWOWで生中継された。
オレは運よくこのライブの模様を知人に録画してもらうことができたので
後日自宅で見ることができた。

そこにはこれまでオレが観た(といっても全部ビデオでですが)ミッシェルのどのライブよりも
凶暴でディープで殺傷力の高い音が鳴っていた。
パツンパツンになった赤坂BLITZのフロアは観客の熱気も異常だった。

1曲目が「サタニックブンブンヘッド」。
そんなはじまり方ってありなんすか?
ありなんだ。

「オレたちは4ヶ月間イヌミチを歩いてきたんだぜ」
というチバのMCのあとにはじまる「ドッグウェイ」。

「オレのオイルはゆであがってる~」
というMCのあとにはじまる「ボイルドオイル」。
このときはほんとに茹で上がってたんだと思うよ。

これからも全力でロックしつづけるしかないという彼らの生き様のしんどい面を音にしたかのような
「ブギー」の退廃感。

アンコールでアベがギターを鳴らし、観客が狂喜乱舞する「世界の終わり」。

自分らが作った「ギヤブルーズ」というとんでもない化け物に
自分達で落とし前をつけるかのような戦いのようなライブだった。
そこには「ギヤブルーズ」のディープな世界が確かにあったのだった。
このライブはそれこぞテープが擦り切れるくらい観た。
で、今年になってDVD化されたのでまた観ることができたが、
やはりこの赤坂BLITZライブがミッシェルの中で一番凄まじいライブなのではといまでも思う。

そして
いまおもえばこのツアーファイナルを機に、「世界の終わり」がライブのアンコールで演奏される機会が多くなっていったように感じる。
このあと8月21日に開催された第1回「ライジングサンロックフェスティバル」でも彼らは最後に「世界の終わり」をやっている。
初期においては他の曲と比べて少々浮いているかのような印象があったこのデビュー曲だが、
彼らのアルバムがどんどんヘヴィになってストーリー性を帯びていくのに従い、
メロディのキャッチーさや「世界の終わりをパンを焼きながら待ち焦がれている」というロマンチックかつデカダンにも解釈できる歌詞といった、この曲がもつ普遍的な輝きがどんどん増していったように思う。

そんなこんなでツアーは終了。
「ギヤブルーズ」は
ありとあらゆる意味で彼らにとってもファンにとっても「怪物」だったといっていい。
ちなみにミッシェルのアルバムでもっとも売れたのが「ギヤブルーズ」でありたしか50万枚くらい売れたと思う。世間的に彼らの作品中もっとも有名なアルバムなわけだ。


当時オレは大学3年。
その年の剣道部の練習がやたらとしんどかったことをよく覚えている。
大好きなミッシェルのヘヴィな様子と自分の人生とがぴったりと合ったんだな。

「ギヤブルーズ」ツアーが終わるとアベの髪の色は黒に戻った。
チバは相変わらずオールバック。
キュウもモヒカン。
あれだけ壮絶な世界に到達した彼らに
このあとどんな世界が見えてくるのか?

続く!!!

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