2011年9月29日木曜日

吉村昭「三陸海岸大津波」

読み終えたのは先週21日に、台風直撃のために停車していた宇都宮線の中である。

吉村昭は淡々と事実を記しつつ、そこに過剰な演出ぬきでリアルな人間の心情を挟んでいるのが醍醐味だ。
この作品は東日本大震災以降書店で目立つ場所に置かれているので目にした方もいるに違いない。

内容は明治29年、昭和8年、昭和35年の3回、三陸を襲った津波の恐ろしさについて、被災者の証言や残されている小学生の作文などを織り交ぜながら書かれている。

最終章「津波との戦い」には岩手県宮古市田老町が3度の津波被害から、強固な防波堤(海面からは高さ10メートル以上)を作り、津波への訓練も欠かさず行っているという事実が書かれており、そこからは津波の被害に対して「同じ失敗は繰り返さない」という積極的な姿勢が強く感じられる。

ではである。
実際そのように津波対策をとっていた田老町にとって今回の3.11の津波の被害はどうであったのか?
調べてみたところと、なんとも恐るべきことに、田老町の住民のうち200人が津波により死亡したらしい。
頑丈なはずな10メートルの防波堤は無残にも今回の津波の前には崩れ去ったのだ。
3度の苦い経験からその対策を進めてきた田老町であったが、またしても津波に多くの人命を奪われてしまった・・・。
どれだけ今回の津波が歴史的にみてもすさまじいのかが伝わってくる。

2011年、この日本に生きるすべての人にぜひ読んでほしい。
そして今回の被害と過去の津波とを冷静に比較検証してほしい。
そんなことを思わせる本だった。

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